Clarice Fantasy

大人の女性向け恋愛小説置き場。たまにR-18
           

ラピスラズリ 300 内示

お返しにもらったネックレスはつけられなかった。どんな顔して選んでくれたのかな。想像すると、嬉しくてやっぱり切なくなる。「おはようございます」3月半ばの朝。事務所に着くと、楠さんが近づいてきた。「4月から社員になるんだね!びっくりしたよ」そう言えば、今日は内示日だ。採用の件は、この日部内だけには通知することになっていた。「あっ、そうなんです。未熟ですが、よろしくお願いします」深々と礼をすると、楠さん...

ラピスラズリ 299 3月

「妻とは別れるつもりだよ」そんな台詞、フィクションの世界や、自分と関係のない場所でしか聞いたことがなかった。友達の友達が、不倫してて…とか、そういう。別れ話していても、別れると決まったわけじゃない。本当のところは、私にはわからない。私たちが、こそこそと会っている今にも奥さんは帰りを待ち侘びているかもしれないのに。冷静になればそう思うのに……渦中にいると、田島さんと二人でいると何も見えなくなって、二人...

ラピスラズリ 298 私次第

「立場?」田島さんの瞳が陰る。こんなところまで来ておいて淫らに抱きあっておきながら、興ざめな発言をして…つくづくどうしようもない私。「別れ話はしてるよ。山下さんのせいじゃないよ。元々、うまくは行ってないからね」「……」「信じるかどうかは、山下さん次第だけどな」田島さんはベッドに腰掛け、煙草を取り出し、シュボッと音をさせてライターをつける。信じるかどうかって……そんな話……何も言えずにいると、田島さんが立...

ラピスラズリ 297 最後のプライド

「瑠璃……」田島さんは、絞り出すように名前を呼んだ。ベッドの軋みが鳴り止み、激しい交わりが終わる。私は、布団で胸元を隠しながら、俯いてティッシュを取る田島さんのつむじを見る。……また、してしまった。喜びだけに浸ることは許されない。罪悪感や失望はついて回る。「やっちゃったって思ってる?」田島さんがティッシュを丸めながら聞く。「思ってます、田島さんも……」「俺は思ってないよ」即答されて、思わず口を噤む。「俺...