Clarice Fantasy

大人の女性向け恋愛小説置き場。たまにR-18
           

ラピスラズリ 237 親心

家に帰ったら、母がこたつでうたたねしていた。「お母さん、風邪ひくよ」「ん……」お母さんはこんなに、小さかったかな。いろいろ口うるさいけれど、私のことを心配しているのは伝わってる。母は、私に結婚してほしいのだろう。すぐには叶えてあげられそうにもない。母の思う幸せと私の思う幸せが交わらないところに存在しているのが申し訳なくも思う。……でも、今日は栞ちゃんに会えてよかった。匠君も。「お母さん。私帰るね」「え...

ラピスラズリ 236 LINE

家までの帰り道、三人で歩いた。栞ちゃんの歩幅に合わせてゆっくり。「るりちゃんの職場、お兄ちゃんの会社と近いよね?」私と匠君の間を歩く栞ちゃんが左右を見比べながら話す。「ああ。近いっちゃ近いかな」「そうなんだ?じゃあ会ってたかもしれないね」「んー。でも、人口はこの町の比じゃないしな」冷たい空気に白い息。栞ちゃん越しに匠君を見ながら歩いた。会社の近くは、人の多いオフィス街。匠君だけに限らず、誰か知り合...

ラピスラズリ 235 うつつ

「私にも怒りたかったと思うけど…相手に、すごく怒ったの。別居してるけど、奥さんがいる人だから。でも、私には産まない選択肢がなくて…自分で養っていけるかなって甘いかもしれないけど…。あ、ごめんね。暗い話して」「…ううん」栞ちゃんの笑顔がどこか寂しげに変わるけどすぐに前向きな言葉が出る。「働いた分の貯金はあるから、出産までは実家で過ごすつもり。生まれたら、また働くよー」「そっかぁ…」「るりちゃんはどんな感...

ラピスラズリ 234 元旦の屋台

「突然誘っちゃってごめんねぇ。るりちゃん、あまりにも変わってないしさ~」明るく笑う栞ちゃんはビールを我慢してお茶を飲んでいた。匠君がビールと食べ物を持ってきた。「やきそばと、焼き鳥と、イカ焼きな」雑なテーブルに乗せられいただきますと手を合わせる。「特別おいしそうでもないのにおいしく見えるよね~」と栞ちゃん。こんな明るい子だったかなぁ。「はい。…山下」「あっ、ありがとう」匠君から缶ビールをもらった。...