Clarice Fantasy

大人の女性向け恋愛小説置き場。たまにR-18
           

ラピスラズリ 304 最後の夜

「好きだよ、瑠璃。俺はずっと、好きでいるから…」震えるような声がして、ぽたりと頬に涙が落ちてきた。はっとして見上げたら、田島さんが、泣いていた。私は、手を伸ばして田島さんの睫毛に触れた。私だって、ずっと好きでいる。私だって……「う……ううっ……うぅ……」途端に、堰を切ったように涙が溢れて、静かに涙を流す田島さんも、唇を噛みしめる。「瑠璃。次のクリスマスイブの夜、気持ちが変わってなければ駅前のツリーの前で待...

ラピスラズリ 303 引きちぎれるように

「すぐには行かないよ。4月から海外事業部に移って、それからずっとシンガポールだって。12月の終わりに一度帰ってこれるらしいけどね」転勤……海外……ピンとこない……田島さんも口数が少ない。その横顔を見ながら、どうにもならないやるせなさを覚えた。もう…会うべきではないんじゃないの?これで、終わらせるべきなんじゃないの?今日が……最後の終わらせるチャンスかもしれない。いくら好きでも、だめなことってあるんだよ。「田...

ラピスラズリ 302 決断

「…聞いたの」「何がでしょうか」「俺の異動の話」「……何がでしょうか」もう、会えなくなるかもしれないのに、こんな言葉しか出てこないし、笑顔も見せられない。「田島、ミーティング行くぞー」楠さんや梶さんが、会議室に向かい始めた。田島さんは「また連絡する」と言い残して、彼らの後を追って行く。連絡されたって。もう、会えなくなるじゃない。私の出る幕なんて、どこにもないじゃない。仕事が終わる頃、LINEが入っていた...

ラピスラズリ 301 体の関係

仕事が手につかない。4月からは田島さんと離れる。シンガポールにいつまで行っているのかもわからない。いや、期間が問題なんじゃない。待っていたい気持ちはもちろんあるけれど、私は、待てる立場にもないのだ。「おはよう」田島さんが出社した。楠さんや他のメンバーが、田島さんに声を掛ける。シンガポールという単語が聞こえてきて、耳を塞ぎたくなった。田島さんは笑いながら、みんなと話している。田島さんは、きっと、前か...