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ラピスラズリ 229 へそまがり

田島さん、待ってるの…?


その時の私は正直、
喜びよりも戸惑いが上回った。


年明けまで会えないと
勝手に覚悟していたのもあるけれど

奥さんとは…どうなってるんだろう?



『改札入っちゃいました』

そう返したら
すぐに返信が来た。



『来年まで会えないから
最後にちゃんと顔が見たかった』



やっぱり、今日が最後なのか。


田島さんに自覚があるかは別として

男の人のずるさのような
そんなものが見えて

中途半端な場所にいる彼に
苛立ちを感じて

スマホを握りしめたまま
電車に乗ることもできず
戻ることもできなかった。


会いたかったら、
田島さんから来ればいい…



“今日は、このまま帰ります”

と打とうとしていたら、
先に田島さんからメールが来た。



『無理言ってごめん。今日は帰るよ。
来年も、またよろしく』


あっさり引き下がられて、
ほっとしながらも寂しくなる。


……何だろ、これ。


一緒にいたいに決まってるのに、
それも言えなくて。

好きなのに、信じられなくて。


こんなこと、誰にも言えなくて。




つらい、とか
信じたい、とか

それを話せる相手は
共犯者である田島さんしかいなくて

改めて、まともな状況ではないことを感じながら
年末の満員電車に足を踏み入れた。

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