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ラピスラズリ 216 まとも

車内に、駅に着くアナウンスが流れる。

何も答えられなくて黙っていると、
花沢さんはぶっと噴き出した。



「嘘に決まってんじゃん、田島さんも
あんたみたいなの相手にしないでしょ!」



周りに響くぐらいの大笑いをする花沢さん。

プシューと音がして、ドアが開く。


「あ…じゃあ、着いたので…
おつかれさまでした!」

逃げるようにして電車を降りる。
心臓はバクバク鳴り、
バレてしまったかと思った恐怖で
じっとりと嫌な汗をかく。


バレてるわけではないみたいだ。
萩原さんに近づくための嘘だったんだな。

そうまでして、手に入れたかったのか…。
嘘をついてまで。


「………」

冷や汗が嫌な感じで冷えて、体が冷たい。

花沢さんのしたことは、
まともではないと思うけれど。

私は、もっと……まともじゃないんだろう。


改札を出たところでスマホが鳴る。
田島さんからのコールに、
縋りつきたい思いで出る。


「はい…山下です」

『今どこにいんの。行っていい?
メシの誘い、無視すんじゃねーよ』

「……すいません」

『…会いたいんだけど』


スマホを握りしめて、
耳から聞こえる彼の声にほっとして。

会えることが嬉しくて、
彼が会いたいと思ってくれてることが嬉しい。



「私も、会いたいです…」



何が正しいかなんて
私も田島さんも分かっているのに
この、湧き出る気持ちに抗えない。

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