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ラピスラズリ 200 行ってきますのキス

「ちょっと…
飲み物買いに行こうかな。
喉渇いただろ」

バスルームから出て、
まだ肌を触れ合わせる前に
田島さんが言った。

そして、
男物のスウェットを渡された。


「飲み物…そうですね…?」

今?

すぐにベッドで始まるのかと
思っていた私は、
唐突な彼の発言に半分戸惑った。


「家で待ってていいよ。
外すげー寒いから」

「あ、はい……」


人の家で待つのは、
とても緊張するのだけれど。

田島さんは身支度を始め、
コートを羽織る。

私はもぞもぞとスウェットを着た。



「……行ってきます」

振り向いた彼が
顔を近づけてきた。

ちゅっと軽い軽いキスをする。


田島さんは社内でも、
席の後ろのイスに
コートを掛けていて、
それを着て会社を出ていく姿を
よく眺めていた。


目が合うと、
「また連絡入れるわ」と言い
私の席の後ろを通って
オフィスを出て行く。

その『連絡』は、
仕事に関する事だけだったけれど……




マンションのドアがバタンと閉まった。


「行ってきます」。
唇には彼のキス。

彼が今のタイミングで
買いに行くものも、
少し思い当たってる。


彼が、私だけの彼ならいいのに…
と思いそうになるのを打ち消す。

それは違うのだ。
田島さんは私のものにはならない。
今日だけの、この時間だけなんだから。


大好きな彼が今、とても優しい。

優しくて、幸せで、
今日が終わらないでと願う。

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