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ラピスラズリ 193 彼の鼓動

別に、約束なんて。

私は、田島さんとの時間を
共有できたら、それで…



そんな言葉を言いかけて、
ぐっと堪えた。


俯いている田島さんの
睫毛を見ながら、
一息に打ち明ける。



「じゃあ、別れてから
口説いて下さい。

私に何も言えないのなら、
言えるようになってから
言って下さい。

何の約束もできないなら、
約束できる立場になってから、
約束して下さい。

私は、それでも田島さんが、好き…です」



最後は、涙声になってしまったけれど。

田島さんは、少し驚きながら私を見上げた。



「好きならはっきりしろって言ったのは、
田島さんのほうですからねっ」

「俺そんなこと言ったっけ?」


あれ……違うか。
俺のこと好きなくせに、だ。


「似たようなもんですっ」

「……はは。気ィ強いな」


田島さんの表情が緩み、
ずっと眉を吊り上げていた私も
少しホッとした。



「ここまで連れてきておいて、
守りに入るのは、ほんとにずるいですよ。
田島さんはずるいです」


「……うん。ずるいな」


田島さんが立ち上がり、
狭い部屋で私を抱き締める。



シャツからは田島さんの
いつものタバコの匂い。



「好きだよ。山下さん」


彼の声が耳に響いて、涙が出る。

ぎゅっと抱きしめられて、
押し当てられた胸からは、
激しい鼓動が伝わってきた。




その後は。







言葉はもういらなかった。

唇が重なり、お互いを求めあうように抱き締める。




罰なら、いくらでも受けるから、
今日だけは、ふたりで。

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