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ラピスラズリ 188 場所

田島さんの黒いコートに薄く雪が積もってる。


横顔と、その雪を見ていたら、
田島さんが私の視線に気づいた。



「寒いな。駅入ろっか」

「あ、ハイ」


どうするんだろう…



振りむいた田島さんは、
「どうする?帰る?」と聞いてきた。



帰る?

帰るしかないよね…?


心は違う事を望んでいるけれど。




「………」


田島さんは私の答えを待つ。
改札に向かって、人が行き交っている。


早く答えなきゃ。



「――あ。」

「えっ」


田島さんのつぶやきに顔を上げ、
その視線の先の追ったら、
萩原さんときれいな女性が歩いていた。

こちらに気付くことなく改札に入って行く。


その様子を、田島さんと二人で
無言で見ていた。

やっぱりモテるんだなー…。
私は他人事のようにその様子を見る。


「あの子、秘書課の子だな」

「そうなんですか?」

「俺らも見られてるかもな。
ここ人の往来多いし」

「じゃあ、誰にも見られない場所に
行った方がいいんでしょうか」


その答えに、さほど意味はなかった。

だけど、言ってから、
いろんな意味に聞こえる気がして、
否定しようとしたけれど、

田島さんは、「そうしようか」と言った。



誰にも見られない場所。

田島さんと、二人きりでいられる場所。



それが、どういう場所で、

どんなことをするのか、

私はもう知っている。




田島さんが歩く方向へ、息を切らしついて行く。
細い階段を上がり、道路脇の出口を出た。


そこにはすぐタクシーが止まっていて
田島さんが乗り込む後に続いて乗った。



どこに行くのかはもう聞かなかった。


私の心は今、
“この人と一緒にいたい”と言っている。







(あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。)

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