Clarice Fantasy

大人の女性向け恋愛小説置き場。たまにR-18
           

Top Page > ひみつのシンデレラ > ひみつのシンデレラ【23】恋を打ち明けるシンデレラ

ひみつのシンデレラ【23】恋を打ち明けるシンデレラ

翌日のバイトは、桜木さんはいなかった。
新規店舗のオープニングスタッフとして行ったからだ。

閉店間際、デパートの主任に手招きされた。

「来週◯曜日、山下ちゃんが就活で休むんだけど、伊原ちゃん来れそう?」

「はい、出ます」

主任は笑顔で「了解、助かるわ?」と持ち場に戻って行かれ、後ろから早見さんが「働くね?」と笑っていた。

さやかちゃんは、桜木さんの会社受ける日なのかな?


閉店して、ロッカーにダッシュ。
いつか階段から転げ落ちる日が来そう…といつも思う。

早見さんとデパートを出て、今日は肉行こうと焼肉屋さんに向かった。


目の前では、網の上の肉がいい音を立てながら焼けている。
そして生中。早見さんとジョッキをガコンと当て合うが、私こんなに飲める…?

「さっ、食べよう!今が一番ベストなタイミング!」

「はいっ」

早見さんは焼肉奉行だった。けしてきれいではない店内だが、お肉は柔らかくておいしくて、ごはんがすすむ。

「早見さん、おいしいお店たくさんご存じですよね」

私がそう言うと、早見さんは食べている箸を止めた。そして少し目線を落とす。

「桜木さんの友達がね。お店とか…詳しいの」

あ…今度コンパに来る人かな?

早見さんはお箸を置き、ジョッキを握った。


「その人とは、二人で会ったこと2回しかないし、全然いい雰囲気もなくて、そんな関係じゃないんだけどさ…」

と、目線は落としたまま。

いつも明るい早見さんが見せた乙女の顔。
その人のことが好きなんだ。

早見さんは、その桜木さんの友達からコンパの件を聞いたようだった。

「相手は伊原ちゃんだって聞いて、びっくりしたよー。桜木さんと伊原ちゃんがつながってるなんてさ。連絡先聞かれたんでしょ?迷惑じゃなかった?」

「いえ、私は…迷惑なんかじゃないですよ」

うつむいてもくもくとサラダを食べていると、早見さんが「ん?」と顔を上げた。

「…伊原ちゃんは、桜木さん好きなの?」

「え?」

「いや、『え?』じゃなくて」

あれ。早見さんの顔が笑ってない。

私の目が泳いでいるのを見た早見さんは、頭を掻く。私の表情で悟ったようだった。


「そうだったんだね。ごめんね。この前悪く言って」

早見さんもサラダを食べ始めた。

今回は、さやかちゃんに言ったように「好きじゃない」と言えなかった。
どんどん自分の顔が赤くなるのがわかる。

「あの…誰にも言わないでくださいね…」

「あはは。言わないよぉ。でも前途多難だね。彼女いるしモテるし、ライバル多いよ?」

わかっていたことなのに、早見さんの言葉がグサグサ刺さる。
でも、桜木さんのこと、もっと知ってみたい。それはまぎれもない事実だった。

にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ

関連記事
該当の記事は見つかりませんでした。