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ひみつのシンデレラ【19】傘としずくと彼からのコール

帰りも雨。

駅から家まで歩こうと傘をさしたところで、携帯が鳴った。

当時の着信音は、ドラゴンクエストの序曲・ロトのテーマ。女子力低いが好きだった。

外ではいつもサイレントにしてたのに、うっかりしていた。

着メロを周りの人に聞かれると照れくさいので、携帯をバッグから慌てて取り出す。
ディスプレイを確認すると、桜木さんからのコールだった。


バタバタと雨のかからない高架下に入り、電話に出た。

「はい、もしもし」

『もう帰っちゃった?』

桜木さんは名乗ることもせず、質問から始まった。
え?いきなり何だ?

「はい、今から家まで歩くところです」

『早いな?。いつもダッシュでロッカー行ってるよね』

よく見てるなぁ…

それより用件は何だろう?
今日は酔ってはないだろうし…

電話にびっくりしたが、こっちもまだ帰る途中ということもあって、昨日ほど緊張はしない。

携帯を右耳と肩に挟んで、傘を閉じた。


『あのさあ、今度、何人かで飲みに行かない?』

「え?売場のみなさんでですか?」

『ううん、売場以外の子。オレも友達連れてくるから』


え…

ええー??


それ言うために、私に電話してきたの?

桜木さんのことを「あいつはない!」と力説していた早見さんの姿が、突如脳裏をよぎる。

トロいだの、桜木さんの悪態をついていた小山さんもついでに思い出す。

素敵でスマートな王子様はどこへ行った?



桜木さん、コンパしてもらおうと、私にパンプスくれたのかな…

朱莉がかわいかったから、私をダシにして紹介してほしくなったとか…

小山さんにまた叱られるよ?
つきあってるんでしょ?


言いたいことはあれこれ浮かんだけれど、口には出せなかった。


それより…

誰にもひみつで、こっそり好きでいるだけでいいなんて、所詮綺麗事だったと痛感した。

本当は、かまってもらって嬉しかったし、もしかしたら私のこと?って淡い期待を抱いていたことを自覚してしまって…

とにかく恥ずかしいし、悲しかった。



桜木さんは私のことなんて、眼中になかったんだ。


だったら…






「いいですよ。いつがいいですか?」

『あっ、いいの?来週の金曜あたりに、3対3で飲めたらいいな』

「わかりました。誘っておきます」

『本当?ありがとう!友達にずっとコンパしてって言われててさ。楽しみにしてるね』

「じゃあ、おやすみなさい」

『うん。おやすみ』


電話を切って、携帯を握りしめる。

桜木さんは、思っていたより悪い王子様かもしれない。

でも、桜木さんが私に気がなくたって、このままでは諦めきれない。

こんな私だって、少しぐらい桜木さんをドキドキさせたい。

彼女がいても、結婚してるわけじゃないし…


彼を振り向かせたい。

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