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ひみつのシンデレラ【14】煙草と香水の匂い

「もしかしてうちのとこ、誰もスタッフいない?」

「あっ、はい。いませんでした」

「え~。どこ行ってんだ…」

桜木さんも忍者のように棚の間を下り、私と一緒に売場に戻った。ここの棚を登り降りする時は、みんな忍者のような動き。


前を歩く桜木さんから、ふわっと煙草と香水の匂いがして、それがやけにドキドキした。
もっと近づきたくなるような気分になる。



結局お客様は、もう少し考えますということで帰って行かれた。

こうやってお買い上げに至らなかった商品はきれいに箱に直して、主にメーカーさんが空いた時間などに倉庫へ戻す。
すでにたまっている箱が3つほどあり、その上に今の箱を置いた。

桜木さんは、売場を見渡した後、くるっとこちらを振り向いた。

「早見から聞いたんだけど、伊原ちゃんって早見と仲いいの?」

思わぬ話題が桜木さんから出て驚く。
私の話が出たりするんだ。

「はい。ごはん行きました。年も近いので」

桜木さんは、「同年代に思えないよね」と苦笑していた。

ん?
私が上?下?

私の返事がないことに気づいた桜木さんは慌ててフォローを始めた。

「伊原ちゃん、落ち着いてるからさ。あいつ落ち着きないだろ」

ああ。私が上か。

「私、落ち着いてますか?」

「うん。話してると落ち着くよ」


また、ドキドキさせるようなことを…

私だけこんな気持ちになってるんだろうな。

私が桜木さんに同じことを言ったら、一体どんなリアクションするんだろう。

あはは、ありがとー!で終わりかな。


しばらくすると、スタッフさんが帰ってきた。ミセスゾーンにかかっていたらしい。
桜木さんは、そのスタッフさんに声をかけ、ミラーの後ろに積み重なっている箱を抱えて倉庫に消えていった。

行っちゃった…

何気なく向こうのゾーンを見ると、さやかちゃんの目が桜木さんの姿を追っていて、胸がチクッとした。


閉店して地下ロッカーに向かう途中、さやかちゃんと一緒になった。

「真希ちゃん、今日桜木さん来てたよね。どこにいるか知ってる?」

「倉庫かな?ストック戻しに行った後は知らない」

そう答えると、焦ったような表情を見せるさやかちゃん。
就職のことか…

「あー。話聞きたかったのになー。次のバイトの時いたらいいなぁ」

落ち込んでいるさやかちゃんを見ていたら、何とかしてあげたくなった。

「私からも、桜木さん見かけたら伝えておこうか?」

「ほんと?お願い!ありがとう!全然決まらなくて、焦るばっかりで…」

なかなか採用されなくて焦る気持ちは痛いほど理解できた。私も何社も落とされた末にもらった内定だった。

私にできることがあれば、さやかちゃんの力になってあげたいと思った。

念のため、二人で倉庫を見に行ったけど、桜木さんはいなかった。

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