Clarice Fantasy

大人の女性向け恋愛小説置き場。たまにR-18
           

Top Page > ひみつのシンデレラ > ひみつのシンデレラ【13】ジェラシーのシンデレラ

ひみつのシンデレラ【13】ジェラシーのシンデレラ

月がかわり、店内にも秋物が本格的に並ぶ季節になる。
デパートの売場は、四季を感じられて好きだった。

桜木さんにもらったパンプスを履き始めた。
デニムにもスカートにも合わせやすく、履いている時は背筋が伸びて、女らしくなれる気がした。

バイトの日、ロッカーで制服に着替えているとさやかちゃんが出勤してきた。

「あー!今日一緒なんだぁ」と笑う彼女は、相変わらずかわいくて、私も笑顔になった。


「真希ちゃんて、就職先決まってるんだよね。私まだなんだ。やばいよね…」

さやかちゃんは、はぁ…とため息をついた。

「さやかちゃん、希望の職種あるの?」

「アパレルで探してたんだけど、全然受かんなくって。販売がいいんだけどな」

うんうんと頷きながら聞いた。接客中のさやかちゃんは輝いてるもんね。
さやかちゃんはベストのボタンをとめながら言った。

「靴の販売もいいなぁと思って。桜木さんに聞いてみようかなと思ってる」

「え、桜木さんに?」

「うん。前、声掛けられたんだよね。販売興味ない?って」

何とも言えない、重苦しい気持ちになった。


着替えが済み、二人で売場に向かう。
さやかちゃんは「桜木さん、今日来てるかなぁ…」と言いながら、担当ゾーンまで歩いていった。

桜木さんのメーカーに就職…?

その当時、就職氷河期真っ只中。

私は、やっとの思いで決まった事務職の内定を蹴る気はなく、むしろすがりつく勢いで入社するつもりでいたが、販売の世界に進もうとするさやかちゃんが羨ましかった。

大学卒業したら、このバイトは終わる。
その後も桜木さんとつながっていられるなんて、いいなぁ…

「すみませーん」と、お客様に声を掛けられて我に返った。

「こちらのレッドですね。確認いたします」

危ない危ない。考え事は後にしよう。
在庫はあるみたい。

「今お持ちしますので、少々お待ち下さいませ」

倉庫まで、在庫を取りに走った。

倉庫で、品番とサイズをつぶやきながら箱を探す。

どこかから「うちの?」と聞こえてきた。

きょろきょろしていると、「こっち」と上のほうから声がするので見上げた。

「これだろ?」

桜木さんが棚の最上段に座りながら、上から笑顔で「はい」と箱を手渡してくれた。

「あ…ありがとうございます」

受け取って、急いで売場に戻ろうとすると、桜木さんが棚から身を乗り出した。

にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ

関連記事
該当の記事は見つかりませんでした。