Clarice Fantasy

大人の女性向け恋愛小説置き場。たまにR-18
           

Top Page > ひみつのシンデレラ > ひみつのシンデレラ【8】手招きする王子様

ひみつのシンデレラ【8】手招きする王子様

閉店間際、早見さんがヤングカジュアルゾーンに戻ってきた。

早見さん、今日の担当はミセスゾーンだったようだ。目が合って微笑み合う。
同じメーカーでもブランドが違うと置き場が変わる。
桜木さんのメーカーでは、各ブランドをスタッフが持ち回りでみていた。

早見さんはいつもニコニコしていて天真爛漫。邪気がなくて明るい人。
人見知りの私でも、打ち解けて話しやすく、早見さんも年が近い分仲良くしてくれていた。

「ねーねー伊原ちゃん、山下さんとは仲いいの?」

さやかちゃんのこと。

「えっと…悪くはないと思いますけど、どうしたんですか?」

仲良しです!と言いきれる自信がまだない。
私は仲良しだと思っているけど、さやかちゃんはどうかはわからない…

「あ、そうなんだ。あの子接客はちゃんとしてるのに、普段全然笑わないし、謎だなぁと思ってたの」

早見さんはちょっと不服そうに口を尖らせていた。考えてみると、早見さんとは正反対のタイプかもしれない。

「ま、いいや。今度ごはん食べに行かない?売場では話しにくいし」

「わー、ぜひ」

このバイトを初めて4ヶ月ほど経った頃。
初めてメーカーのスタッフさんとごはんに行く約束をした。

閉店後、早見さんと連絡先を交換し、来週ごはんに行こうと約束した。





ああ、パンプス…
今日も取りに行けなかった。

桜木さんはどう思ってるだろう。放置して感じ悪いよね。




ロッカーの階段を上がったら、目の前に桜木さんがいた。

「あ!伊原ちゃん」

後ろから人の波がひっきりなしに押し寄せるので、桜木さんとその波をよけた。
私の背中に、桜木さんの手がトンと当たり、一気に顔が赤らむ。

桜木さんはスーツでご出勤なので、ロッカーは使っていない。このまま帰るようだった。


「伊原ちゃん、あのパンプス置きっ放しでしょ。いいよ、持って帰って」

「違うんです、持って帰りたかったんですけど、盗んだみたいに思われそうで…」

そう答えると、桜木さんはあははと笑った。

「バイトさんだけで倉庫入るとそうかもね。ごめん。配慮が足らなかったね。今ならいけるでしょ」


私に手招きしながら、桜木さんが倉庫に向かって前を歩く。

ドキドキ。
鼓動が高鳴り始めた。

雑然とした売場裏の路地を、二人で歩いた。

にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ

関連記事
該当の記事は見つかりませんでした。