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ひみつのシンデレラ【7】働くシンデレラ

帰りの電車で考える。
あのパンプスどうやって持って帰ろう。

桜木さんにも何かお礼しないと。
展示会で使ったとはいえ、買取しているみたいだし。

元々私のためじゃなくて、誰かのために買い取ったものなんだろう。
その人のサイズが合わなかったとか、気にいらなかったとかで、私に回ってきたのかも。



考えていると虚しくなってしまうけど、それが現実だから仕方がない…

桜木さんには、何の思惑もないんだろうな。

私もまた、無理に売ってこなかった桜木さんにキュンとしてしまってるし…

プレゼントしてくれるなんて。

きっと、履くたびに桜木さんを思い出してしまう。

どんどん心が抜け出せなくなっていて、期待する気持ちを抑えるのが苦しかった。

きれいな彼女もいるし、 あのさやかちゃんですら桜木さんにドキドキしてて、私には出る幕もない。
片思いを終わらせるにはどうしたらいいんだろう。諦め方がわからなくなっていた。





翌日もバイトだった。
エコバッグをポケットに忍ばせてみた。
閉店後、ケースから靴だけ入れて帰ろうかと考えながら売場に出た途端、走る小山さんとぶつかりかけた。

「ちょっと、気を付けてよ!」

「すっ、すみません」

睨まれて怯む。

学生バイトは、デパートの系列会社に雇われていることもあって、売場の社員さんは大体みんな優しかったけど…メーカーさんは優しい人もいれば、厳しい人もいた。

小山さんは、ぶっちぎりで厳しい人だった。

違う意味でドキドキしながら売場に立つ。
あー怖かった。



ふと見ると、桜木さんのメーカーの早見さんが接客中だった。

私のひとつ上の23歳で、小山さん、桜木さんの後輩。おいしいお店などよくご存じで、社内喫茶のワッフルがおいしいことを教えてくれたのは早見さんだった。

サイズ違いを倉庫に取りに行くのかな?

「私行きますよ」

「あっほんと!?ありがとう、これの35お願い~」

サンダルの片足を託され、倉庫まで走った。靴裏には品番タグが貼っているのでそれを確かめる。

棚をよじ登って発見。あったあった。
忍者のようにするすると下り、片手で箱を抱えて売場に戻ると、早見さんの姿はなく、小山さんがこちらを見て手を伸ばしてきた。

「ありがと。それ貸して」

威圧感に物怖じしそうになりながらケースを渡した。怖すぎるけど、お客様の前では笑顔をキープする。
そして、少し離れた持ち場に立った。

今日は、桜木さんはいないのかな。

それにしても、小山さんの迫力に磨きがかかってるように思うんだけど…
嫌われてるのかも。
小山さん、トロい人間は嫌いなんだもんね。

態度は怖いけど、一方的に嫌われることにはあまり何も感じなかった。私も、小山さんを好きではないから、お互い様なのだ。

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