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ひみつのシンデレラ【6】ひみつのプレゼント

その日以降はシフトが合わなくて、さやかちゃんにも桜木さんにも会えない日が続き、真面目にバイトした。

セールも落ち着いてきた夏の暑い日、売場に出ると桜木さんがいた。

わあ、久しぶり…

勝手に一人で意識してしまって頬が熱くなってきたので、慌てて顔をそらしたら、こっちに気付いた桜木さんが「伊原さーん」と手招きした。

よよよ、呼んでる。


「はい、何でしょうか…」

遠慮がちに近づくと、桜木さんはにこーっと笑顔を見せた。

「やっと会えたね。伊原さんサイズ何センチ?」

「えっと、23です」

「言ってたパンプス、展示会で使ったのでよければプレゼントしようと思って。傷もないし、きれいだよ」


えっ!
プレゼント!?

声をあげそうになる私に、桜木さんは人差し指を唇に当ててしーっとした。


「ひみつだよ」


そのしぐさがまたサマになっていて、ドキドキしながらただ頷くだけだった。


倉庫に置いてるから、バイトが終わったらサイズを合わせてみて、と言われた。

「もしかかと抜けるなら中敷き入れるから言ってねー」


王子様直々に中敷きを!?

つい「自分で入れます!」と、かわいくない返事をしてしまった。
だって、忙しいのに…お手をわずらわせたくないし。自分でできるし。

「会えてよかった。じゃあ、お疲れ様」

桜木さんは、別のデパートとのアポがあるらしく、そのまま売場を出て行った。

閉店の音楽が鳴りやむと同時に倉庫に走った。

桜木さんは棚の左下に置いてるって言ってたけど…

棚に頭を突っ込んで見渡すと、蓋に「展示品買取」と書かれた箱を発見。
開けてみると、淡いパステルブルーの薄紙で丁寧に包まれた、キャメル色のパンプスがあった。

サイズ35ハーフ。23cm。
そっと手にとってみた。

やっぱりかわいい。

シャープなフォルムが少しお姉さんな感じもして、少しだけ背伸びできるようなデザイン。
足を入れて少し歩いてみると、ぴったりと馴染んでいた。

夜に足に馴染んでるってことは、朝に履いたらゆるいかな?
いずれ中敷のお世話になるかもしれないな。

桜木さんからプレゼントだなんて、夢みたい。
胸がぎゅっと締めつけられた。



…しかし、倉庫からは持ち出しにくい。

箱抱えてここから出て行くのを誰かに見られたら、盗ったと思われないかな。
少し考えてみるものの、自然に持って帰れる案が浮かばない。

結局、その日は持ち出さずにロッカーに戻った。

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