Clarice Fantasy

大人の女性向け恋愛小説置き場。たまにR-18
           

Top Page > ひみつのシンデレラ > ひみつのシンデレラ【4】見抜かれるシンデレラ

ひみつのシンデレラ【4】見抜かれるシンデレラ

さやかちゃんがアイスを食べながら右を向く。

「桜木さん、ここ煙草吸えないですよ」

「知ってる。二人に話しかけにきただけ」

スモーカーの桜木さんは、お昼の後と夕方休憩はいつもこの喫茶の喫煙席に来るらしい。

「山下さんは冷たいなぁ…。ね、伊原さん」

人懐こくていたずらっぽい笑顔を向けられて、ドギマギしながらもつくり笑いをしてソーダを飲んだ。




その後は、少しだけおしゃべりをした。
桜木さんは、売上はいい感じ、とか、セールで買い物しないの?とか言っていた。

先日売れていたキャメル色のパンプスが気になっていた私。
「あれ、かわいいですね」と伝えると、

「似合いそうだね。伊原さんがうちの靴履いてくれたら、純粋に嬉しいな」

と、王子様が微笑む。



もし買う時は、桜木さんがフィッティングしてくれるのかな?

…なんて、邪な考えが浮かんで消えた。

桜木さんの笑顔を見て、ホストに貢ぐ方々のお気持ちが多少わかる気もした。

あの笑顔、また見たいもん。
買ったら喜んでくれるかなって思っちゃうよ。


時間が来たのでさやかちゃんと立ち上がると、桜木さんも喫煙席に移る。
桜木さんは煙草を取り出して咥え、私達に笑顔で手を振った。

その煙草に火をつけると、途端に顔つきも変わって、大人の男の人に見えた。

私は、優しくて笑顔で、人懐っこい桜木さんしか知らない。
小山さんは、桜木さんの大人の顔も知ってるんだろうな。

「桜木さんってなんか苦手」

戻る最中に、少し前を歩いているさやかちゃんが言った。
急には返事できないでいると、はっとした顔で私の方を振り返った。

「…あ。真希ちゃんが好きだったら、ごめん」

「……ううん。好きじゃない」

咄嗟にそう答えてしまった。さやかちゃんはホッとした様子で「17時までがんばろうね」と言った。

―真希ちゃんが好きだったら、って…―

さっきのほんのひとときで、さやかちゃんは私の想いを見抜いた…?

思わず「好きじゃない」って言っちゃった…
もう少し言い方があったのに、まるでキライって言ってるみたい。

さやかちゃんだって、「苦手」って言ってただけなのに。
今さら撤回もできないし。バカだなー。私。

撤回したところで、成就することなく終わってしまうような恋なんだけど…

にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ

関連記事
該当の記事は見つかりませんでした。