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ひみつのシンデレラ【3】ワッフルとメロンソーダ

季節は夏。もうすぐクリアランスセールがある。
セール期間中は、通常3時間勤務だけの学生バイトにも、8時間勤務のシフトが出た。

就職も決まって大学も夏休みに入った私は、時間だけはあったので、言われるままシフトを入れてもらっていた。

さやかちゃんと一緒に休憩にいけたらいいな。今度の日曜が少し楽しみになった。

日曜日になり、朝から売場に出た。
開店前の準備を手伝い終えると音楽が流れ始める。

セールは始まったばかりで、開店と同時にお客様が押し寄せた。

音楽が流れる間は、両手を前に添えて立ち、お客様が通るたびに一礼する。

ヤングエレガントゾーンにいるさやかちゃんと目が合って、お互い微かに微笑みあった。
ちなみに私の担当はヤングカジュアルで、納得の配置だった。それぞれのキャラクターに合っているなと感心した。


遠くの方に桜木さんの姿を発見。

しかしこの日はさすがに見つめている場合ではなく、夢中で働いていると瞬く間にお昼過ぎになっていた。


お客様の波の隙間から、売場の主任が手を上げて私とさやかちゃんに言った。

「伊原ちゃん、山下ちゃん、休憩行っておいで」

話は逸れるが、実際は休憩とは言わず、隠語を使う。ここでは明かさないが、トイレにも隠語があった。
デパートによってその呼び名は変わる。


「やった!一緒!」


さやかちゃんと売場を出て、社員専用エレベーターに乗り、社員喫茶に行くことにした。
前に「社員喫茶のワッフルがおいしい」と、仲良しのメーカーさんに聞いていたから。

お昼ご飯はワッフルとサンドイッチ。
さやかちゃんとシェアした。飲みものは二人とも、偶然メロンソーダフロートを頼んだ。

ワッフルは二人で顔を見合わせるほどおいしくて、
「もったいないね、ここで働く人しか食べられないなんて」と話した。

その社員喫茶は煙草が吸える場所だった。一応禁煙席に座っているし、空気清浄機はフル稼働しているが、煙は次から次へとやってくる。

メロンソーダに乗ったアイスを食べていると、さやかちゃんが「お疲れ様です」と私の後ろにいる誰かに言った。

「二人とも甘そうなの食べてるね」

その人は、笑いながらさやかちゃんの右隣の席に座る。

まさかの桜木さんだった。

目が飛び出しそうなほど驚いたが、現実は恥ずかしくて、言葉が出ない。
ぺこりと頭だけ下げて、もくもくとアイスを食べ続けた。

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