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ラピスラズリ 181 ここで

手の中のコーヒーは
だんだん冷めてきて。


私の家ももうすぐで
マンションが建物の隙間から
見えている。


なかなか本題に入らない私に
急かすこともせず
田島さんは隣を歩いてくれた。





「…イブ、予定ないなら
飯食いに行かね?」


と、沈黙を破ったのは田島さん。


お誘い…!

………でも!



「……デートならしませんよ」



可愛くなさすぎる返事に
田島さんも曇り顔。


だって、私は別れたばかりで
田島さんなんて別れてなくて
全然片付いてない。




「なんだそれ。
飯食うだけなのにデートなのか?」



いやいや、
クリスマスイブに
男女が二人でご飯たべたら、
デートの域じゃ?


田島さんは、こういうところ
甘いよなぁ……


「じゃあさ。
梶さんと山下さんが
飯食ったらデートなの?」


「ふ……違いますね」


全然ない組み合わせだけれど、
想像したら面白くて吹いた。



でも、私と田島さんだったら、
違うでしょ。


酔った勢いとは言え、キスだってして。






…………。




あ。


ここで?



きっと今がパシッと言うタイミング?



少し前を歩いていた
田島さんの背中に向かって、
息を吸う。


「く、口説くなら、
奥さんと別れてからにして下さい!」


「……え」



田島さんは驚いた顔。



「別れたばかりの私が言っても
何なんですけど、
今の状況で、誘ったりするの
ずるいですよ」


立ち尽くす彼に、続けて言った。


「田島さんはずるいんですよ。
簡単にイブにご飯誘わないでください。

奥さんいる人なんて、
好きになりたくないのに…」



「…山下さん」



「田島さんなんて、きらい……」



感極まって泣く私に
田島さんが近づく。




腕を引っ張られ、
ぎゅっと抱きしめられて

田島さんは
「ごめん」と耳元で繰り返した。

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