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ラピスラズリ 180 こんなはずじゃ

雪がちらつくほど寒い、
クリスマスを数日後に控えた師走。

散々仕事してきた会社の人(しかも上)を
自分の駅に引きずり下ろしてまで
言いたい事って……




「……ここ、寒い」



「ですよね!」



もう、怯んじゃってる。




「ひと駅しか変わんねーし
ここから俺の家まで
歩こうと思えば歩ける距離だから、
改札出よ」


「は、はい」



田島さんは先を歩いてって
私が小走りで後を追う。





あれ…
こんなはずじゃ…




岡田さんのように
パシッと言い放って
パシッとキメるはずだったのに。





先を歩いてた田島さんが、
自販機の前でしゃがみ込んでる。




「どうしたんですか」


「はい。カイロがわり」


あったかい缶コーヒーを
ぽんっと手渡され、
あちちっ!と手の上でバウンドさせた。


私のリアクションを見た
田島さんが吹いてる。




こんなはずじゃ…!




かっこわるいな……私。





ふたりそれぞれ缶コーヒーで
暖を取りながら、
高架下沿いをまっすぐ歩く。



「天野、こんな冬でも
自転車乗ってんのかな。
ここの駅だよね、あいつも」


「駅はここだと思いますけど、
自転車はどうでしょうか……」


天野さん。
最近は全然知らないし、
興味もなくて見ていない…



何秒か経った後、田島さんは、
「あ、ごめん。話題にして」
と謝った。



「何で謝るんですか?」



「いや、あいつの名前出すのは
デリカシーなかったな。ごめん。

……はー、何言ってんだろ俺…」




田島さん…

いつも余裕綽々なのに。



もしかして、田島さんも

“こんなはずじゃ”って思ってる?

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