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ラピスラズリ 179 今

「……奥さんは、実家に戻ってるからね」


「そうですか……」


自分の妻の事を
“奥さん”って呼ぶんだな。






ぎゅうぎゅうに混んだ終電間近の電車。
吊革を握りしめて体勢を取る。


田島さんの横顔を見ようとしても、
ガラスに映ってばれちゃうから
見られない。


すると

「クリスマスはひとり?」

と聞かれた。




「はい。一人です。
年末も、年始も
お正月開けたって一人です」


「ははっ。俺は仕事だけどな」


「私は、平気です。
ひとりでも。
ひとりがいいです」



そう言うと、田島さんが
私を見たのがわかった。



「彼氏がいなくても、結婚しなくても、
正社員でも、派遣でも
仕事で誰かに必要とされれば、
自分のいる意味があると思えるし」


「うん」


「恋愛だって
今度はちゃんと好きになってから
つきあいたいし、
恋愛だけがすべてじゃないし」


「…うん」


「……だから、……」




……あれ?

岡田さんみたいにうまく言えない。

てゆうか、

自分で何言ってるのかわかんない。



今ここで田島さんに
『別れてから口説け』
なんて言ったら、

超絶勘違い野郎になる気が…





「なんか……俺に
物申したいみたいだね」

と、田島さんが苦笑する。



ど、どうしよう。
頭の中も錯綜してる。



車内に、次の駅のアナウンスが入った。

それは私が降りる駅で
田島さんの家は、その次の駅。


「…い、言いたい事ありますよ。

田島さんには、
私、ずっと困ってますから…」





駅に着く。



到着のアナウンスが流れた時、
私は田島さんの腕を引っ張った。




「田島さん、
今、お話できますか」


「え、今?」



田島さんは少し驚いていたけれど
私に引っ張られるままに
二人でホームに降り立った。

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