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スノードロップ #1 告白

場所はわたしの部屋。
学習机に二人隣り合って座ってて。


ユウくんは、採点中だった。
最後の問題にマルをした時。


「わたし…
ユウくんのこと好きなの……」


言った、ついに!

好きだって言えた!


ユウくんは、無言で驚いていたけど、
すぐににっこりと微笑んだ。


「ありがとう。もう時間だな。
次回までにここまで解いとけよ?」


あれ??

笑顔だけど、そそくさと帰り支度するユウくん。

スルーされた?


「ユウくん、」

きゅっと腕をつかんだら、
ゆっくり振り解かれた。


「…おまえな。
バイトクビにさせる気か?
色気付くなバカ」




伊原有くん。
わたしのいとこ。

パパのお姉さんの息子で、
わたしより4歳上の大学生。

就職は決まっているらしい。


彼女はいないはずって、ユウくんの姉、
マキちゃんが言ってたんだけど…



じっとユウくんを見ていたら、
ウザそうに目を細めて、
わたしのおでこをはたいた。


「大学生行きゃー男なんて選び放題だよ。
卒業まであと半年じゃん」


そう言って、ユウくんは
黒のリュックを肩にかけた。


うそ、帰っちゃうの?…やだ!

帰ろうとしているのを追いかけたら、
ユウくんは「…ユキナ。」
と低い声で名前を呼んだ。


「勉強しとけな?」

「ユウく…」

「―――いとこだしさ。
ややこしくなるのは嫌なんだよ」


そんなにはっきり言われたら、
もう何も言えない。


「じゃ、また金曜な」


ドアが閉まり、
ユウくんとお母さんたちが
話しているのが聞こえた。
内容まではわからない。

でも、
わたしが告ったことなんて
ユウくんにとって
大した問題じゃなかったのはわかる…


ユウくんには一回90分、
週2で家庭教師を
してもらっている。

終わると夜の10時半。


うちとユウくんちは
同じマンションに住んでいて、
ひとつ下の階に帰って行く。



増田雪那。
とある女子高の3年生。

18歳の夏に、
生まれて初めて好きになった人に
生まれて初めての告白をして
生まれて初めて失恋した。

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