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ラピスラズリ 168 あと10分

心のままになんて動けない。

あと10分ほどで自宅に着く。
田島さんを家に上げるわけには行かないし。


今は相手の心を探るのに、
察するのに、疲れた。


ちらりと田島さんを確認したら
「このままUターンするから安心して」
と言われた。

さすが、営業職…
察する事に長けている…



「萩原と一緒に住んでんじゃないの?」

「住んでましたが、昨日飛び出しました」

「そこまで揉めてるのか…」

「はい。もう間違いたくないので
よく考えます」

「……考えたところで、
山下さんが変わらなければ
意味はないだろうけどな。」

「それは田島さんもですよ」

「食い気味に返してきたな。
ま、人は変えられないんだよ」

人は変えられない。
わかる気がする。

自分が変わらなきゃ、何も変わらない。




「ま、いーや。
俺といたいならうちで働け。
結婚したいなら辞めろ」

「極端……」

「そのぐらいでいいんだよ、
山下さんには」



マンションが見えてきた。

運転手さんに
「すいません、その辺りで」と伝え
財布を出してゴソゴソしていると

「いらねー」と田島さんが
財布をバッグに戻す。


「で、でも」

「いいから。
明日出社できるように
帰って体休めろ。
男と揉めてるからって休むなよ」


財布から離れた田島さんの手が、
降りろと背中を押す。


「休みませんよ」

タクシーから降り、田島さんは
また明日と手を振っている。



お鍋に、キスに、叱咤激励に。

タクシーが見えなくなったところで、
今日のお礼を言ってないと気付く。

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