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ラブホリック 409-最終話。

新生児時期は慣れない育児も楽しみ、
生まれた喜びに涙するほど幸せだった。


産後1ヶ月頃からは
思い出したくもないほど体調が悪化した。
持病が暴走したのだ。

最悪だった体調がやっと落ち着いたのは
出産から1年後。

その間、矢野さんとは数えられないほど衝突した。
いわゆる産後クライシスだったのかと…

矢野さんは、今でも
「暗黒の時期だった」と言っている…


体調が落ち着いたころには
再びまた仲良くなり始めていた。

今考えると、一方的に怒っていたことが
大半だったと思う。申し訳ない。




矢野さんは転職した。

前職の経験を活かせる仕事。
転職してしばらくは大変そうだっだけど、
前より早く家に帰ってこられるようになった。

仕事で疲れているのに
コユキを寝かしつけてくれたり、
わたしの体調が悪い時は
家事などしてくれたりして
本当にありがたかった。








そしてコユキ1歳半の頃。

某人気キャラクターのコンサートに
親子3人で行くことにした。

ベビーカーを嫌がる子だったので、
どこにいくにもエルゴ必須。

その日は矢野さんが張り切って
エルゴを着けてくれて、
わたしは久しぶりに身軽になって歩かせてもらった。




子供向けコンサートということで
かわいらしいお遊びを想像していたが、
童謡と言えど爆音で音楽を聞くのはとっても楽しくて
大人も気分も上がった。


矢野さんもキャラクターの呼びかけに
ノリノリで答えたりして…

当のコユキは、怯えて楽しめていない様子だった。(笑)





閉演となり、会場を出て、
人でごった返しているロビーに出る。


コユキがぐずり始めたので
矢野さんから抱っこを替わり、
出口に向かって歩いている時、
少し遠くから誰かがこっちを見ていた。





見覚えのある、優しげな困ったような笑顔。

わたしに向かって「久しぶり」とその人の口が動いた。



ケイゴさんだった。



小さなお子さんを抱いていて、後ろには奥さまらしき方がいた。



ケイゴさんの変わらない笑顔に、
わたしも笑顔で「久しぶり」と返した。
それ以上の会話はなく、会場を後にする。



あのケイゴさんの笑顔を見て、
ただ、懐かしさだけが胸に残った。

彼が幸せそうだったことが、本当に嬉しかった。




矢野さんに、ケイゴさんがいたと教えると、
「マジか」とやや怪訝そうな顔をした。

あれから数年も経つのに、
昔、ケイゴさんの話が出た時の
リアクションのままだった。


矢野さんは、ちょっと拗ねたように
「あーあ」とため息をつく。


「マサキ、ため息ついたら幸せ逃げるよ」

「誰のせいでついてると思ってんだ」


こんなやりとりも久しぶりで、
思わず笑うと、矢野さんも笑った。



ぐずるコユキをなだめながら
チャイルドシートに乗せて、車を発進させる。







わたしの隣には矢野さんがいる。


これからも、ずっと。





fin.

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