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ラブホリック 401-救急外来へ。

※ショッキングな内容を含みます
 苦手な方は読まないでください



腹痛はない。


サラサラの鮮血が床一面に広がった。

動揺して立っていられなくなり、
その場にへたり込む。

前回のことが脳裏をよぎり、一気に冷や汗が出た。



どうしよう。どうしよう…




その時、足音が聞こえて乱暴にドアが開いた。


血まみれのフローリングに
座り込んでいるわたしを見た矢野さんは、
一瞬立ちすくむ。


「マサキ…だめかも…」

力ない声で言うわたしに、
矢野さんは「診察券どこだ!」と言った。


バッグを指さすと、
矢野さんは母子手帳ポーチを取り出し、
病院に電話をかけようとしたので、
つながる前に代わってもらった。

受診の際は妊婦本人から連絡するように
言われていたからだ。



こんな状態なのに、
電話ではやけに気丈に状況を話せた。
ピンチなのにいつもと変わらず
振舞ってしまう自分が悲しかった。


土日だったので、
『救急受付へ来てください』とのことだった。


汚れたボトムだけは替えて、
車の後部座席に大きなゴミ袋と
バスタオルを敷いて横になる。


あれから続いての出血はなかったが、
玄関では相当な量が出ていた。



怖い。

赤ちゃん…ごめん


お腹をさすり、
体を丸めるようにして目を瞑る。


矢野さんは何も言うことなく、
病院まで車を走らせた。


病院まで車で10分。

恐ろしく長い時間に感じた。


救急の待合はすごく混んでいた。



受付で名乗ると、ご年配の看護師さんが
車イスを持ってきてくれた。

「さあ乗って。先生のところ行きましょう」

そこにもバスタオルを敷き、
看護師さんが処置室まで押してくれる。
その後ろを矢野さんが歩いていた。


処置室にはわたしだけが入る。

車イスから立ち上がった時、その方が
「がんばって!お母さん」と
私の肩を撫でた。



お母さん…



その看護師さんのその一言が
心に深く刻まれて
今でも忘れられない。


一番がんばってるのは、
わたしじゃなくてこの子だ。

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