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ラブホリック 398-点滴に救われる。

点滴が入り始めて少ししたころ、
矢野さんが部屋に来た。


ベッド脇の丸イスを引っ張り出し、
スーツ姿の矢野さんが座ってわたしを見る。

「…大丈夫かよ、おまえ…」

そう言いながら、手が伸びてきて、
わたしの髪を撫でた。

体調が悪くてお風呂も入れてなくて、
すっぴんで汚いのに。

また涙が出てきて、唇を噛み締めて我慢。

そんなわたしを見て
「すげー顔だな」と矢野さんが笑うから
わたしもつられて笑った。




しばらくすると、気持ち悪さが少しましになり
体が軽くなる感じがした。


「なんかもう大丈夫そう。仕事行っておいで」
と言うと、矢野さんがすごい形相でわたしを見る。

「何言ってんだ。置いていけるかよ。点滴終わるまでいるよ」

「わたしはタクシーで帰るから大丈夫だよ」

「もー…おまえなぁ…」

矢野さんは心底理解に苦しむような様子で
はーっとため息をついた。


「言うこと聞いて。頼むから」

片手で顔を押さえて、
聞こえるか聞こえないかぐらいの声で言う。

矢野さんはもう一度ため息をつき、
わたしを見た。

「仕事なんか何とかなるんだよ。
 今もオレいなくても仕事は回ってんの」

「うん…」

「夜もあんまり寝れてないんだろ。
 調子上がってきたなら今寝とけ」

「……うん…」


矢野さんの手がわたしの手を包む。
すっごい心配かけてる。

手が暖かいせいか、次第に眠気が来て、
看護師さんが来るまで二人で少し寝た。




「矢野さーん。お待たせ~。終わったよ~」

看護師さんが点滴を外してくれて完了。
起き上がると、ふらふらが減っていて
無事に家まで帰ることになった。


久しぶりにまともに話すわたしに
嬉しそうな顔をする矢野さん。




続くつわりのなか、
一瞬だけ晴間が見えた日だった。
この頃は9週ほどだったと思う。


次の産科は12週の頃。
それまでに母子手帳をもらってくるように言われていた。

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