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ラブホリック 395-つわりデビューを果たす。

で、その矢野さんの飲んでる
コーヒーの匂いがもうダメ…

素敵だと思ってた矢野さんの香水もアウト…

っていうか、悲しいことにこの時期
矢野さん自体がアウト…

嗅覚が強烈に研ぎ澄まされていて、
外から帰ってきたスーツの匂いすらダメになり
マスクをしたらマスクの匂いがダメ、
と八方ふさがりだった。


前とは変わってしまったわたしを心配し、
矢野さんは病院についてきたがっていたけど、
そういうわけにもいかない。

なんとなく、職場では
夫に甘えているようには
見られたくなかった。

今となればよくわからないプライドだけど。(苦笑)

一応矢野さんはマネージャーだし、
仕事の邪魔はしたくなかった。



できることは自分で、ということで、
矢野さんの申し出は丁重にお断り。


電車内の匂いに冷や汗を掻きながら
ふらふらで病院に着き、
待合のソファではあはあ言いながら
わりと長い時間待った。

午後から間に合うかなぁ、と
思いはじめてきた時に呼ばれ、
内診台に乗った。

カーテン越しに器具の音や、
パタパタと忙しそうな看護師さんの足音がする。

緊張するなぁ…と思っていると、
優しそうな若い男性医師に挨拶された。

「ちょっと見ますねー」

しばらくカーテンが開かなくてドキドキしたけど、
「矢野さん、見えますか?」という
先生の声と同時にカーテンが開いた。


画面には、黒い丸の中に小さな小さな赤ちゃんがいた。
クリオネみたいな…ほにゃっとした形。

チカチカと何か光っていて
それが心拍だと教えてもらった時には
目頭が熱くなった。


わたしと矢野さんの赤ちゃんが、
わたしのお腹の中で
心臓を動かして、生きていた。



先生からは、
少量の出血は問題ないと言われた。
胎盤が完成したら大丈夫だと。

12週ごろまであとひと月半ほど…
果てしなく長いように思えた。

出血に関しては
特に安静にしなくていいと言われたものの、
増えもしないが止まる気配はない。


そして、翌週からは会社に行けなくなってしまった。

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