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ラブホリック 344-新幹線のホームで。

新幹線のホームに上がるエスカレーターで、
矢野さんが後ろからギュッとしてきた。
ふわっと彼の匂いがした。

地元に帰るお供に、
矢野さんの香水持っていけばよかったかも。
寝る前に嗅ぎながら寝たらよかったかも。
と二人で話しながらホームに出た。


新幹線のドア前で荷物を受け取る。


あまりしみじみと挨拶するのも
照れくさいし、寂しくなってしまうから
時間を置かず乗り込もうとしたら、
案の定「あっさりしすぎだろ」と引き戻された。


矢野さんは、ムスっとした顔で
「週末行くから。待っといて」
と言った。

「うん」とうつむく。

「上向いて」

肩を少し引き寄せられて、
唇が重なって離れた。


人!人いるから!
という顔をしたら、
矢野さんは意地悪そうに笑って
「乗れ乗れ」と、手をひらひらした。


座席に着き、またホームを見る。

矢野さんはポケットに手を入れながら
こっちを見ていて、目が合うと
手を振ってくれた。




時間が来て、新幹線が発車した。
お互いに軽く手を振り合う。


矢野さんは、見えなくなるまでホームに立っていた。


彼の姿が見えなくなると、急に寂しさが襲う。


耐えられるかな。
もう会いたくなってるのに。


握りしめていたスマホにメールが来た。

『泣いてない?』と矢野さん。

『泣きそうだけど泣いてない』と返信すると
『オレは泣いてるのに?』と返ってきて吹き出した。

離れてても気持ちはきっと一緒だ。




矢野さんは、この後本社開発部の宴会へ。
飲み過ぎないといいけどな。



わたしが地元駅に着くのは21時頃。
それまで結構な時間がある。

座席でぼんやり窓の外を眺めていた。

トンネルを出たところでメールが届く。
すっかり久しぶりのアサミからだった。

『明日から支社?
 あたしも常駐終わって明日から支社だよー。
 っていうか、ユキだけ支社なの?矢野さんは?』
とのこと。

うう…みんなそう思うよね。

『今新幹線乗って地元帰ってる。
 矢野さんがホームまで送りに来てくれて』

そう送ると、間髪入れず

『ホームで人目もはばからずハグとかしてないでしょうね』
と返ってきて、失笑。

『今から渡辺さんの送別会だよ。ユキ、間に合うなら顔出したら?』

21時に着くと伝えると、
お店の情報が送られてきた。
いつも宴会で行っていたお店だった。

お店に少しだけ立ち寄ることにした。



地元駅到着。

降り立つと、懐かしい。
いつも思うけどとにかく懐かしい。
年始に帰ってきた以来。

キャリーを引きながら教えられたお店に向かう。

座敷に通され、そっと覗いてみると、
仁科君が出てきた。

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