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ラブホリック 335-ランチから戻る。

「今日、七瀬さんに会えてよかった。」

橘さんはそう言って柔らかく微笑む。

「これからもよろしくお願いします」

わたしは、笑顔でそう答えただけ。

笑顔も作れていたのかどうか
怪しいもので。

心の中は、真っ黒で
どうしようもない感情が渦巻く。
それを隠すのに必死だった。

過去のことだってわかっている。
まだ何も起きていない。
これからだって、何も起こらないはず。


…でも、負の感情に押しつぶされてしまいそうだった。



橘さんたちと別れて、ビルに戻る。
上りのエレベーターを待ちながら
向井さんと話した。



「ごめんね。強制連行しちゃって」
と向井さん。

「あー…いえ。楽しかったです」

ウソつけ自分、と自らにつっこむ。
向井さんは、複雑そうな表情。

「勝手にごめん。
 面識ないまま支社に戻っちゃうのは、
 もったいない気がして…」

会ってしまった今も、
大いに気になっているけど、
会わなかったら、それはそれで
妄想が膨らんでつらかったかもしれない…

どっちにしても、向井さんは悪くない。


「ご心配おかけして本当すみませんでした。
 ありがとうございます」


向井さんに頭を下げたところで、
背後から「おまえら、何してんだよ」と
聞き慣れた声がした。


「うわっ!マサキ!」
向井さんが焦っていた。


矢野さんは怪訝そうな顔で向井さんを見て、
「もー…余計なことすんなよ」と言ったので
何となく察した。


矢野さんは、橘さんが戻ってくることは
知っていたみたいだった。


他にもエレベーターを待つ人がいたので
詳しい話はできず。

矢野さんはわたしの隣に乗った。
うつむく顔を覗きこまれ、
つい吹き出してしまった。

エレベーターが開発フロアに着く。

矢野さんはわたしの頭をポンと撫でて、
微笑みながら降りて行った。

それを見た向井さんが、ホッとした様子で笑う。

ほんの少しだけ、不安な心が浮上した。

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