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ラブホリック 331-別居生活の見通し。

矢野さんは、電車に揺られながら静かに話し始める。

「藤原さんが、7月か10月に支社に返してやるって。
 だから、3ヶ月か半年。
 6月納品予定のA社案件があるから、
 納品間に合えば7月転勤。それが押したら10月。」

あ…
藤原部長と話したんだ。

「マネージャー試験受かる前提だけどな。
 本気で頑張れば大丈夫って言ってもらえたけど…
 やるしかねーな。」

矢野さんは、静かに闘志を燃やしている。
思うことはいろいろあったけど、
彼のその目を見たら、応援したくなった。

「…うん。きっと受かるよ。」

何があろうと
やるしかないなら、
全力で矢野さんの味方になりたい。

わたしも決意を新たにした。


そんな彼に、橘さんのことは
聞けなかったし、言えなかった。


その晩は、家でも荷造りをした。
そんなわたしを、矢野さんは
複雑そうな様子で見ていた。

ベッドに入ると、ただ、
残りの時間を慈しむように
抱き合う。

「マサキは、わたしがいないと浮気するのかな」

そんな、試すような、
可愛くない言い方をするのが
精一杯だった。

「するかよ(笑)おまえはオレの愛をわかってねーなぁ」

つきあい初めの頃に言われたセリフ。

彼はわたしの可愛げない不安にも、
笑って答えていた。


いよいよ、辞令が下りる日。



年度末に向けて、最後の追い込みで
仕事をこなすが、頭の中は
正直それどころではなかった。


今日は、橘さんがやって来る日。


仕事でこんなに集中力を欠いていたら、
絶対ヤバい。

現にいくつか凡ミスしてしまい、
部長にも「疲れてるねー」と苦笑された。

使えねー奴だな。

…と、矢野さんに言われそう。


会社に何しに来てるんだ。
最後なんだから、本決算なんだから
大きなミスしないように、と
自分を奮い立たせ、お昼前になった時。

フロアの入り口で、わあっと歓声が上がった。


振り向くと、小さな子を抱っこした
女の人が、みんなに囲まれていた。


小林部長が「あ、菊池さんだ」と微笑んだ。

橘さん…いや、菊池さん。(呼び名が定まらない)

「七瀬さんは、菊池さん知ってるのかな?
 4月から営業アシスタントとして復帰したんだよ。」
と部長。

「あ…はい。お会いしたことはありませんが、
 お名前は知っています」
部長を見て答え、また彼女の方を見る。


あれ…?


なんか…


ちょっとした違和感を覚えていると、部長が

「菊池さんて、七瀬さんに雰囲気似てるよね」

と言った。



わたしも、そう思う。

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