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ラブホリック 295-ウキウキから一転。

歩き疲れたので、カフェで少し休憩した。
わたしはベリーのタルトとミルクティ、
矢野さんはいちごの乗ったショートケーキとコーヒー。


「マサキ、ケーキ食べるんだね。なんか意外」

「ショートケーキ好きなんだよなー。
 誕生日とか、いつもこれだったし」

「不二家とか?」

「いや、母さんが焼いてたような…。
 姉ちゃんも手伝ってて」

「えーっ!すごい素敵!」


そうかぁ~!

我が家はケーキ屋さんのホールケーキが
定番だったけど、手作りっていいなぁ…!

感動するわたしに、矢野さんが笑う。

バレンタインは手作りにしよう!
と一人密やかに決めたのだった。



陽が落ちてきて、夕暮れ空に染まる。
そろそろ帰ろうかと手をつなぐ。

一緒にいられて幸せ。

電車を降りると、矢野さんの携帯が鳴りだした。

「…リナだ」

矢野さんはそう言うと、わたしを見た。

「…出ていいよ。電話」

複雑な思いで、矢野さんが電話に出るのを見つめる。

「はい。何?」

受話器から漏れ出る女性の声。
ああ、無理。聞いてられない。

わたしは矢野さんを置いて、先に歩きだした。

今日突然アドレス変えたから、
電話が掛かってきたのかもしれないけど…

楽しかったのに。
幸せだったのに。

ほんの一瞬で、醜い感情で焼きつくされてしまった。




「ユキ!ちょっ、待てよ」

偶然にも、キムタクのモノマネを
彷彿とさせるセリフだったけど、
そこで笑う余裕は全くない。



振り切ってマンションまで走り、
エレベーターで先に上がる。

家に入り、コートを着たままベランダに出た。
上がる息を静めるために深呼吸する。



わたし、何やってるんだろ…。

その場に座り込んだ。


何でこんなに翻弄されてるんだろう。
大きく構えていられないんだろう。
入籍までしてるのに、何が不安なんだろう。

こんな自分、いやだな…。



カラカラと窓が開き、
帰ってきた矢野さんがベランダに出てきた。
「さみー」と言いながら、わたしの隣に座る。


ちらっと顔を見ると、
矢野さんもこっちを見た。


「あいつも結婚するんだって」

「えっ」

「もう連絡ないから。さっきのが最後」

「寂しい?」と聞くと、
「まぁ、幸せにはなってほしいよ」と言っていた。


わたしも、ケイゴさんには
幸せになってほしいと思う。


「部屋に入ろうぜ。寒すぎる」

「マサキは、わたしのこと嫌になってない?」

立ち上がる矢野さんに問いかけると
矢野さんは、心底呆れた顔で答えた。


「はぁ?なるかよ。おまえはオレの何見てきたんだ」



…ほんとだ。

わたし、矢野さんの何見てたんだろ。



その言葉で、目の前が拓けた気がした。

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