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ラブホリック 291-営業行きの話。

「営業行きの話?
 ああ。去年からあったよ。結局断ったけど」

コーヒーのカップを置きながら、
矢野さんがあっさり答えた。

「仁科君までも、マサキが
 営業部行くと思ってたみたいだけど…」

「んー。藤原さんが言ったのかな。
 オレは仁科に何も話してないから」


矢野さんは管理部にいた時、
契約業務を担当していて、その道に
詳しい小林部長からも教わったりしていた。

交渉できて契約にも強いSE…って、
それは営業部も欲しいだろう。

A社は大型顧客だし、
矢野さんが担当すれば、営業部的には丸く収まる。

でも、断ったんだ。


「まだ藤原さんの下で働きたかったし。
 営業本部長もちょっと強引だったから、
 藤原さんとモメたりしてたよ。結構激しく」

「大変だったんだ…」

「大変っつーか、まぁ…。
 営業に人が足らないのは事実だしな。
 でも営業部、中途採用かけだしただろ。
 オレが営業行ったとしても、今度は逆に
 開発の仕事しながら営業活動してんじゃね?
 今と何も変わらない気がする。
 抱え込むのは性分だからな。おまえと一緒」

「変なとこ似てるよね」

「上に上がっていくためには、手離す練習しねーとな」

そう言って、矢野さんは屈託なく笑った。




しーんと言葉のないわたしに、矢野さんが頭を掻く。

「…あんまり心配かけたくなかったんだよ。
 隠してたわけじゃないから」

「うん…」

「言ったら、おまえは自分のことみたいに悩むだろ」

お見通し。(苦笑)


大変な時に、何も知らずにいたのが
心苦しいけど…

矢野さんは自分で決着つけたんだ。

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