Clarice Fantasy

大人の女性向け恋愛小説置き場。たまにR-18
           

Top Page > ラピスラズリ(連載中) > ラピスラズリ 164 なんにも

ラピスラズリ 164 なんにも

「詳細、聞きたい?」

田島さんが事もなげに言うから、慌てて、
いいです!ごめんなさい!とお断りした。

あんまり踏み込んじゃだめだ、
やっぱり…



「まだ寝てなくていいの」

「すっきりしてきました、
もう大丈夫そう…」

「じゃあ店出ようか。送るよ、
タクシー来るまでだけど」

「いや、そんな……」


って、断り過ぎ…?


「……あの…じゃあ、
お願いします。甘えます」



深々と礼をしたら、
田島さんは「素直」と笑っていた。



素直な自分を田島さんに出したら、
それを喜んでくれて、
ぎゅーーってしたくなった。




「さっむ…」
「寒っ…」


店を出て同時に寒がり、笑い合う。

「タクシー乗るなら大通り…
もう一本向こうの道だよ」

「行きましょう大通り」

「あれ?さっきより元気」

「気分悪いのなくなりました」

「よかったな。」


びゅうっと前から風が吹き、
頬も手も耳もキンと冷える。

寒すぎて身を屈めて歩いていると
田島さんが私の前に立つ。

「山下さん」

「はい?」


田島さんは無言で私の手を握る。


うわぁ、…


と思っていたら、その後は
私の唇に軽くキスをした。


そして大通りまで歩く。




何か言わないと………



田島さんはなんにも言わない。


私も、なんにも言えない。
ずっと前からこうしたかったから。

にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ

関連記事
該当の記事は見つかりませんでした。