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ラピスラズリ 163 手

田島さんの手が、畳に投げ出されていた
私の手に触れた。


「………」


……顔が見られません。



握られたその手からは
煙草の匂いがしたけど温かくて

この匂いはずっと好きで


差し出された手に
すぐに縋りついてしまうのは
だめだってわかってるのに…


「田島さん…」

「気分悪い?」

「……横になったらましになりました…」


私からも、ちょっと力を込めて
ぎゅっ、としたら、
田島さんが私を見下ろした。


こんな下から見上げることなんてないから
ドキドキする。


「萩原に何されたの?」

「えっ…と」

「無理矢理やられたの?」

「………」


直球に言葉が詰まり、何も言えない。

「当たりか。山下さん、
こういう時いつも目泳ぐから」


田島さんは私から手を離して
ウーロン茶を頼んでくれた。

あぐらをかいて座っている田島さんの、
少し前かがみの背中やシャツ。


客先に行く仕事だから、
パリッとしてるけれど、
自分でクリーニング行ってるのかな。


ウーロン茶が来る前に体を起こし、
店員さんから受け取った。


そしてまた襖が閉まる。

ウーロン茶を一口飲み、
私も田島さんに問いかけた。


「田島さんは、なんで、別居を…」

「わかり合う気がなくなったからだよ」


夫婦は、恋人同士より
もっと複雑で、難しいものなんだろうけれど

その諦めのような気持ちは
知っている気がした。

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