Clarice Fantasy

大人の女性向け恋愛小説置き場。たまにR-18
           

Top Page > ラブホリック > ラブホリック 229-終わるための電話。

ラブホリック 229-終わるための電話。

そして、いよいよ地元に帰る前日。
その日は矢野さんは
仕事で帰りが遅い日だった。


早く、けじめをつけなきゃ…と
考えていたけど
まだ実行には移せていなかった。



ケイゴさんを嫌いにはなっていない。

矢野さんに惹かれたことは、
別れた理由のうちの一つだけど、
それだけが原因じゃない。


ケイゴさんから離れて、
冷静になってわかったことがある。


忘れられない出来事の合間に
彼に対する失望が確かにあったこと。


許そうとしたり、忘れようとしたり
飲み込もうとしたりしたけど
やっぱり、どうにも消化できなかった。

信じたいと思っていたけど、
本当は信じられなくなっていた。


ケイゴさんはとても優しかったし
心配もたくさんしてくれた。
わたしを想ってくれていた。

わたしも、ケイゴさんが大好きだった。


それでも、彼の弱さを
受け止め切れない自分がいた。

やり直す気には…なれなかった。


ケイゴさんに電話をした。


震える手でスマホを持ち、
呼出音を聞く。


…出た。


『ユキ?…どうしたの?』


懐かしい声が耳に響いた。


「ケイゴさん。久しぶり」

『…うん。元気?体調はどう?』

「体調は変わらないよ。ケイゴさんは?」

『おれは……変わらない。』

どことなくぎこちない会話。
意を決して切り出した。



「指輪を返したいの。」



しばしの沈黙が流れた。

にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ

関連記事
該当の記事は見つかりませんでした。