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ラブホリック 200-無神経。

店を出て、酔い覚ましと散策を兼ねて
二人で駅周辺を歩く。

矢野さんはこの辺りの大学を出ていたので、
地理はよく知っていた。

ここには、清水さんや、
元カノさんと過ごした
思い出が詰まってるのかもな…と考えた。

「懐かしいですか?」

「まぁな。10年近く経ってるけどな」

街を見渡す矢野さんの横顔を見つめた。

「……彼女さんと別れた時、つらくなかったですか?」

唐突な質問に、矢野さんがこちらを向いた。

「へ?……まぁ…そうだな。
 心に穴が開いた感じはしたよ。
 でもあいつとは随分前に終わってたようなもんだから、
 つらいのとはまた違ったけど。」

思いの外、真面目に答えてくれて驚いた。


少しの沈黙のあと、
矢野さんが立ち止まり、口を開いた。

「つーか、この前の出張の時の方がつらかったよ。
 蒸し返して悪りーけど」


ガツンと言われて、ハッとした。

しまった!失言した!


「すみません!」と謝るしかなかった。

「すみませんじゃねーよ、バカ」

バ………

「…わたしもバカかもしれませんけど、
 矢野さんもバカですよ」

「おまえが無神経なんだよ。
 こっちは何もなかったようにしてんのに」


その後は、売り言葉に買い言葉で
どんどん下り坂を転がるような
会話を繰り広げた。


「なんでそんなに
 かわいくないこと言うんですか?」

「かわいいこと言ってもらいたかったら、
 へなちょこ君に言ってもらえ」


ぐっ…

痛いところを突かれて、黙り込んだ。


沈黙の中、社宅に着く。


矢野さんは「じゃあな」と
社員寮へ帰って行った。


ケンカしてしまった。


9月の終わり。
もう秋の空気を感じていた。

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