Clarice Fantasy

大人の女性向け恋愛小説置き場。たまにR-18
           

Top Page > ラブホリック > ラブホリック 182-1週間。

ラブホリック 182-1週間。

実家に帰ると、母が優しかった。

実家を出る前は、
あんなに叱られてばっかりだったのに。

心配かけて申し訳ない思いだったが、
誰といるよりも安心して、癒された。

…すぐ、口げんかに発展するけど。(笑)



矢野さんのことは、
思い出さないようにしていた。

思い出せば、心に刻まれて、
どんどんわたしの心の中を
占めていきそうで怖かった。



実家からの通勤は少し遠くなる。
いつもより早起きして会社に向かう。

住んでいた駅を過ぎる時、
シャッターが閉まった薬局が見える。

ケイゴさんと連絡は取っていなかった。
あの家に、服も荷物も置いたまま。

会っていなければ
夢を見ていたような気になるほど、
ケイゴさんといたあの時間は
幻のように感じた。


栗栖さんには新たな引継を
始めなければいけなかったこともあり
辞令前から本社配属になる旨を伝えた。

大層寂しがってくれて、かわいい。(笑)

「彼氏さんの方が寂しいですよね。遠恋ですもんね」
と言われ、答えに窮した。


そして、矢野さん。

不思議に思うほど、
矢野さんの姿を見かけなくなっていた。




10月からの生活は社宅。
主にファミリーが住んでいる。

当時、長期出張する女性が少なかったため、
その一室を与えてもらった。

家具や家電は付いていて、
あまり大掛かりな引越しはしなくて
よさそうだった。

独身男性は単身寮。
少し離れたところにあり、
矢野さんはそこに入る。


辞令が出るのは月末より少し前。
その翌日からはもう本社勤務になる。


9月も半ばが過ぎ、
辞令が出るまであと数日。


その前に、クリニックに
行かないといけなかった。

数値を見るためもあるが、
東京で病院にかかるために
紹介状をもらわなければいけない。


ケイゴさんとも、そろそろ話をしないと…
と思っていた。

受診前日に、ケイゴさんにメールをしたら
電話が掛かってきた。


『ユキ?元気?』


1週間ほど離れていただけなのに、
懐かしい優しい声だった。


「うん…ケイゴさんは?」

『今元気になったよ。メールくれてありがとう』

「…ありがとうって……」


結果的にお互い様だったとはいえ、
あんな仕打ちをしたわたしに、
ありがとうって言える人なんだなぁと思った。

にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ

関連記事
該当の記事は見つかりませんでした。