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ラブホリック 148-知ってる香り。

お風呂から上がったケイゴさんが、
電気の消えた寝室まで来た。


「ユキ、話しておきたいことがあるんだ。聞いてくれる?」


わたしが寝ているベッド脇に、
彼がかがんだ。

「泣いてるの?」

まさか泣いてるとは思わなかったらしい。

ケイゴさんは、泣き顔を覆っていた
わたしの右手を取り、両手で包んだ。



「後藤さんと会ってきたよ。」



何を話し出すのか、
不安になりながらも黙って聞いた。


昨夜、薬局のメンバーで飲み会だった彼。

帰りに後藤さんにもう一軒誘われたそう。
仕事の悩みを聞いてほしい、と。

わたしを迎えに行くために断ったが、
代わりに今日、ごはんに行く約束をして
帰ってきていたらしい。


最近、後藤さんは
仕事でトラブルが多かったらしく
ケイゴさんもフォローしきれずに、
困っていたそう。

それが解決できるなら、
相談に乗ろうと思った、と。



わたしは
ケイゴさんの不安定さは、
仕事にもあるのかもしれないなぁ…と
思いながら、彼の話を聞いていた。


ケイゴさんの言葉が止まった。

「…え?話それで終わりじゃないよね?」


彼はひとつ咳払いをして、頷いた。


「ユキと結婚するって話したら、
 泣いちゃったんだ。
 ずっと好きだったのにって。
 ぎゅってしてくれたら諦めるからって
 言うから、抱きしめた。ごめん」


「…………」


「そうしないと帰れなくて…ほんとごめん」




嘘がつけない彼の打ち明け話。
たぶん、本当の話なんだろう。

すべて話すのが誠意だと
考えているのが彼らしい。

後藤さんに対して
気持ちがないから話せるのか。



矢野さんに抱きしめられたことを思い出す。

罪悪感に襲われながらも、
わたしは、あれを打ち明けるなんてできない。



ケイゴさんは、
わたしの次の言葉を待っていた。



なんでこんな時に二人で会ってるの?

わたしが同じこと言ったら
絶対妬くよね。


後藤さんが泣いてるから抱きしめたの?

ケイゴさんが帰りたいから抱きしめたの?

……本当に抱きしめただけ?

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