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ラブホリック 102-非常階段。

6月に入った頃。

矢野さんとの噂は、なんとなく続いていた。
直接言われたりはしないので、
特段困ることはなかった。


朝、1階のコンビニでコーヒーを買う。
アイスコーヒーはやめた。
冷えたらだるさが倍増する気がして。

出勤するエレベーターホールの人の中に
矢野さんがいて、こちらに気付いた。


「おはよ。ちょっとタバコ付き合って」
と矢野さんが言う。

矢野さんはいつも、
非常階段を出たところでタバコを吸う。

会社が仕方なく設けている感じの
屋外の簡易喫煙所だ。
灰皿ボックスが一つだけ置かれている。

わたしはタバコは吸わないけど、
たまにつきあいでそこに行くことはあった。



非常階段のドアを開けると、誰もいなかった。

朝は、大体の人が1Fにある、
ガラス張りの喫煙ブースに行く。



矢野さんが、壁にもたれてタバコを咥えて
ジッポで火をつける。

煙がふわっと空に上っていった。

黙ってタバコを吸う矢野さんに
「何かお話ですか?」と切り出した。


「今度、サオリちゃんと飲み行ってくるわ」

「栗栖さんと?二人ですか?」

「そう。」

ふーっと煙を空に吐く。

「矢野さん、遠恋の彼女さんは
 どうなってるんですか?」

「切れてはいないけど、会ってもねえよ。
 最近オレも仕事忙しいんだ」

白い目で見ると、
矢野さんが慌てて弁明を始めた。

「誤解すんなよ。
 サオリちゃんから誘ってきたんだ。
 それをななちゃんに言っときたくてだな。
 耳に入ったらギャーギャー言うだろうなと思って、
 オレなりの配慮だよ」

「ちょっと〜彼女さんも栗栖さんも
 傷つけるのやめてくださいよ〜!」

「だから、向こうからだって」


ぐう…心配。

聞きたくなかった〜。

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