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ラブホリック 097-会社で噂話。

「夜、矢野さんといたよ!誰が何言ってた?」

「二人で手つないで歩いてたって、
 渡辺さん(開発部2課課長・口が軽い)が…」

ぎえええっ!
おしゃべりでは右に出る者がいない、あの…!

「つないではないよ!
 渡辺さんどこから見てたんだろ」

「ただならぬ雰囲気だって言われてたよ…
 2課の男どもは噂話大好きだからね」
ちなみに、矢野さん、アサミ、仁科君、は3課。

「それにしても、矢野さんと和解したんだ?」
とアサミが意外そうな顔をした。

アサミも、タイトな納期に追われて
忙しかったので、矢野さんの話は
全く話してなかった。

「そうなの。謝ってくれて」

矢野さんをちょっと見直していたところ…
とはアサミには言えなかった。(笑)

「まぁ、開発フロアで、
 噂になってることだけはお伝えしておくよ。
 早く会社に結婚報告できるといいね」
と、アサミが苦笑い。


矢野さんとの噂話、気は重くなったけど、
実害はないだろう。


「式場探すのとか、いつになるんだろう…。
 引っ越しすらままならないのに」

ため息をつくと、アサミが笑って
「今週末飲みに行こ!」と言ってくれた。



ランチから戻り、また一仕事。
今日はほぼルーチンワークで平和な日。
栗栖さんのフォローにも回りつつ、順調。

矢野さんの大型案件を一つ、
流れを掴むために彼女と処理していた。

よくわからない部分があると言うので、
見てみると、確かによくわからない。(笑)

珍しく社内にいた矢野さんに声をかけ、
少し時間をもらい、栗栖さんと
開発フロアに上がった。

席まで行くと、矢野さんが顔を上げる前に、
後ろの席から「彼氏に会いに来たのー?」
と冷やかしが発生。

キタキタキター!と思いつつも、
「全然つきあってないですよ」と返すと、
矢野さんが、後ろをぐるっと見回しながら言った。

「オレが一方的に好きなの。傷に塩塗んなよ」

笑っていたけどハッキリ制するような声。

冷やかしメンバーも笑ってはいたけど、
それ以上突っ込んでくることはなかった。

何より、それを聞いて一番びっくりしたのは、
わたしかもしれない、と思った。


矢野さんは顔色変えず、
ミーティングスペースに席を移し、
わたしと栗栖さんも席に着いた。

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