Clarice Fantasy

大人の女性向け恋愛小説置き場。たまにR-18
           

Top Page > ラピスラズリ(連載中) > ラピスラズリ 142 雨

ラピスラズリ 142 雨

「あ。雨」


カフェの軒下から、
田島さんが手のひらを宙に差し出し、
空を見上げた。

泣きだしそうだった空は、
ぱらぱらと雨が降り出している。


「私、傘持ってますよ」

バッグの中には折りたたみ傘。

前にもここから
一緒に傘に入った。



「会社の置き傘取りに行くわ。
そこまで入れて」

「はい」



遠慮がちの相合傘。

田島さんと腕がくっつくのが
申し訳なくて、体は引けていた。


「濡れるよ」

「はい、でも…」



あんまり密着するのも…



「何を遠慮してんの」

警戒を感じているかのように
田島さんは笑う。


「遠慮しますよ…
友達じゃないんですから」

そう言うと

「まあな」
と、遠くを向いてしまった。


田島さんも、同じようなことを
思っているのだろうか…

顔がとても近いから
見上げられないでいたら

「山下さんは前から
萩原のこと好きだったの?」

と、消え入るような声で
尋ねられた。






その質問に、
俯いていた顔を上げ
田島さんを見る。




「……なんでですか?」







田島さんは口角を上げただけで
何も答えなかった。

にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ

関連記事
該当の記事は見つかりませんでした。