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ラピスラズリ 313 最終話

クリスマスイブ。


しんしんと降る雪を、
大きなツリーの横で見上げた。


結局、仕事を片づけて、
ここに立ち寄ってしまった。


今年もホワイトクリスマス……。




だけど

田島さんは、ここに来るのだろうか。


予定では、今日の午後、日本に戻ってきているはずだけど。

あの、黒いコートを着て、
キャリーをひきながら。

在りし日の姿を思い浮かべて、
佐伯さんの後輩のお店で
きれいにしてもらったネイルを見る。



そして、手の甲の跡の消えない傷は
いつも私を見ている。

誰かを傷つけて生きてきたことを
一生忘れることはない。



佑香さんは、再婚された。
慰謝料を払い終える頃、
一枚のハガキがポストに入っていた。

シンプルな、白とブルーとシルバーの
結婚通知のハガキ。



再婚されたからと言って、
自分の罪が消えるわけでもない。

でも、今は幸せに暮らしているのかと思うと
少しだけ心が救われた。



白い息が、雪の降る
ダークグレーの空へ舞い上がっていく。

頬の感覚は冷たくなって少し痛い。


自分の頬を包むようにして、
息を吐いた時。


キャリーを引き、
歩いてきた男の人が
私を見て立ち止まった。




「いた。……よかった……
飛行機遅れて……。こっち寒いよね」




変わらない声に、自然と涙が溢れる。


髪が伸びているけど、少し痩せてもいるけど、
以前より日焼けしてもいるけど、
瞳は変わってない。


田島さんは、じっと私を見ると
「変わってないなあ」と笑った。




涙が溢れて、言葉にならない。




会いたかった。

ずっと。



キャリーに薄く雪が積もっているのが見える。


田島さんは、私を、強く
抱きしめてくれた。


ちらちらと雪が降り、
イルミネーションは輝く。



「……本当にごめん……」



田島さんは、私の左手を取って
ポケットから出したリングを嵌めた。


動かない左手薬指に
ぶかぶかのシンプルなプラチナが光る。





私の未来は、これから始まる。











ラピスラズリ、これにてTHE ENDです。
長い話になってしまいました。

頭の中の瑠璃と田島さんを動かしていたらこんな結末になりました。

田島さん、かっこわるいな~と思いながら書いてましたが、読み物として楽しんでもらえればと思います…。

とにかく更新が遅かったので、楽しみに読んで下さっていた方にはとても申し訳なく思います。
長い間、本当にありがとうございました。

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