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ラピスラズリ 312 傷

私は、振り返らずにドアを開けた。
すごい風圧に、後ろへ一歩下がる。


最初から、本当に遠慮していたなら、
こんなことにはなっていないだろう。

結局すべて、自分を優先した結果だ。
その結果に報いながら、過ごして行くだけだ。




仕事上でも、もう
田島さんと連絡を取ることはなかった。

違う部署に行ってしまった彼と、
関わりはなくなっていたし、
社員になって、仕事量も責任もケタ違いに変わり、
特に梶さんは厳しく教えてくれた。


自分で、顧客を持ち、赴いて
自分の足で、自分の声で、仕事を得る毎日。

すごくハードだけど、
田島さんのサポートをして
得ていたやりがいと同じくらいに、
今業務内容にやりがいを感じている。



前のようにキーボードは叩けなくなった。

リハビリをしても、
元のように戻る可能性は低いと言われてはいたから
覚悟はあったはずなのに
時折やるせなくなる時もある。

傍目から見ると、
後遺症もわからないように見えるらしい。


それはいいのか悪いのか……。



でも、傷はまだ残っている。

薄くなっても、心にはずっと残る。


振り切りたくても、
ずっと、あの約束も心に残っている。

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