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ラピスラズリ 311 月日は過ぎる

田島さんはその後、
シンガポールと日本を行き来し、
社内で会うことはほとんどなくなった。

3月の終わりに行われた送別会は欠席し、
私はスマホを新しくした。

新しい連絡先は、田島さんには伝えていない。





季節は移ろい、少し肌寒くなった頃
田島さんと佑香さんの離婚が成立したと聞いた。

教えてくれたのは、
佑香さんでも田島さんでもない人だった。



「おー。派遣ちゃんーじゃなくて社員ちゃん」

「だから、山下ですって」

「なんか気ぃキツくなったね、瑠璃ちゃん」


屋上で一人で昼食を取っていると、
昼寝をしようとした萩原さんとばったり会ったのだ。


「ねえ、聞いた?田島の話」

食べたものでむせそうになりながら返事をする。

「懐かしい名前ですね。何の話ですか?」

「離婚したんだって。あいつ」


佑香さんの顔が浮かんだ。

春雨スープをごくりと飲み、
視線だけ萩原さんに向ける。

萩原さんは勝ち誇ったように微笑み、
私の隣に座った。


「瑠璃ちゃんなら知ってると思ってたのにな。
連絡取ってないんだ、田島と」

「取ってません」

取れるわけがない、と言いかけてやめた。

ずるずると春雨をすすり、噛み下す。
社員になってから、早食いになった。


「ま、それだけ。
俺も口外すんなって言われてるから
知らないふりしてね」

「はい…。デスク戻ります」

完食したカップを持ち、立ち上がって
萩原さんに背を向け、出入り口まで歩く。




後ろから、萩原さんが言った。


「もう、遠慮しないでいいんだよ」

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