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ラピスラズリ 307 砕け散る

暴力的なシーンを含みます。
苦手な方は読まれないようにお願いします。



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「もう……私は会う事はありません。
仕事で顔を合わせることも…」

「なぜ?そう言い切れるの」

佑香さんは涼やかな瞳を上げ、
冷たげな表情で私を見た。


「海外事業部に異動になりますし…」

「隼人が?」

「はい。シンガポールに……4月以降…」

失言したと思った。

佑香さんは、さっきと打って変わって
苛立たしげにカップを置く。


転勤のことなんて、
浮気相手から聞かされるような
話題じゃない。

私は、立場も弁えずに……

「『私のほうが、隼人を知ってる』とでも思ってるの?

……なのに、隼人が異動するから、別れるのね。
薄っぺらい関係ね。
吐き気がするわ。あんたみたいな女」


佑香さんの瞳が、激しく憤っている。

「すみませんでした」

謝る以外何もない。
頭を下げると、佑香さんが立ちあがった。


「あんたのせいで……
私がどんなみじめな思いしてるかわかってんの?」


激昂した佑香さんが、テーブルの上のものを
片っぱしから掴み、投げ飛ばした。

周りのものが飛ぶ。
リモコンも、花瓶も。

最後に力いっぱい投げつけられたカップとソーサーが、
ガラスのテーブルの上で砕け、
大きな音を立てた。



「!」

顔を庇って、腕で丸めこむようにしていた私の左手の甲に
大きな欠片が刺さった。

「う……っ」


痛みで顔が歪む。
高級そうなカップは割れ、
ガラスのテーブルにはひびが入っていたが、
下げた頭は上げられなかった。



私が悪いのだ。

私が…
田島さんを、どうしようもなく好きになったのが悪いのだ。


拳を握りしめたまま、黙って動かずにいた。

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