Clarice Fantasy

大人の女性向け恋愛小説置き場。たまにR-18
           

Top Page > ラピスラズリ(連載中) > ラピスラズリ 302 決断

ラピスラズリ 302 決断

「…聞いたの」

「何がでしょうか」

「俺の異動の話」

「……何がでしょうか」

もう、会えなくなるかもしれないのに、
こんな言葉しか出てこないし、
笑顔も見せられない。


「田島、ミーティング行くぞー」

楠さんや梶さんが、会議室に向かい始めた。

田島さんは「また連絡する」と言い残して、
彼らの後を追って行く。


連絡されたって。
もう、会えなくなるじゃない。
私の出る幕なんて、どこにもないじゃない。



仕事が終わる頃、LINEが入っていた。
「何時でもいいから、家に来て」
そんな誘い。


また、セックスして絆されて、
寂しくなって抱き合って、
奥さんと別れてくれなくて、切なくなって、
もっと前に出会えたらよかったと思いながら、
また、繋がり合って。それの繰り返し。

会えなくなったら、
それももう終わりなんだな。


ある覚悟を決めて、マンションに向かった。

私の心の内側で騒ぐ感情に蓋をして、
決断を抱えて、インターホンを押す。


田島さんもちょうど帰ったところだった。
いつもはビールだけど、
この日はコーヒーを出してくれた。



寂しい印象だったはずのこの部屋が、
今日は慈しむように包んでくれているように思える。

にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ

関連記事
該当の記事は見つかりませんでした。