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ラピスラズリ 283 安心

楠さんから溜息が聞こえてくる。

運用が変わったのだから、
岡田さんでも、断るはずだ。

ただ、私みたいな言い方はしなかっただろう。
岡田さんなら、何て言うだろう。


田島さんに言われた言葉が過る。

“いつも自分は被害者って顔してる”

“はっきりしない”

今も私は、そんな顔してるのだろうか。



「あの、楠さん」

半分無意識に呼びかけた。

ノートパソコンを抱え、
立ち上がって楠さんの席まで行く。

じっと楠さんの目を見ると、
楠さんは目を丸くしていた。

「な、何だよ?怖い顔して」

「頼りなくてすみません。
ただ、新運用として、個人で作成するって
決まったものなので、
私がそれを破ることはやっぱりできません」

「ああ……で?」

パソコンを開け、
メンバースケジュールを開く。
楠さんも、画面を覗き込むようにした。

「代わりのサポートならできます。
楠さん、お昼から出張ですよね。
データ送って下されば、その後は私がやります。

あと、楠さんのサポートは、
岡田さんからしっかり引き継ぎましたから、
安心して下さい!」

「…………」

楠さんは、一瞬あっけに取られた後、
大笑いした。

「わかったよ。
山下ちゃんがそんなに俺を好きだったとはなぁ」

「何でそうなるんですか」

「つっこみは岡田ちゃんそっくりだな」

「ありがとうございます!」

さっきより、楠さんの顔が
優しくなった。


私の今の立場で、
やれるべきことを尽くしたい。

自分のデスクに戻る時、
田島さんと目が合った。

微笑みながら、頷いてくれた。

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