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ラピスラズリ 278 赤い顔

駅までという約束で、二人で歩く。
人ひとり分挟んで。

「さっきはちょっと泣けたな」

田島さんが話しだした。

「ずっと一緒にいた奴がいなくなるのは寂しいな」

「田島さんも寂しいんですか?」

「まあ……岡田は、入社時から知ってたし。
ぐっとくるものはあったよ」

「田島さんは、転職考えないんですか?」

「俺?」

少し驚きながら私を見る。

「考えなかったこともないけど。
そんなに器用な方じゃないから、
置かれた場所で頑張るよ」

「……そうですか」

「そうですかって、そっけないな。
山下さんから聞いてきたのに」

「そうですけど……わっ」

その時、後ろから自転車が来て、
お尻をぽんっと突き飛ばされた。

田島さんが腕を支えてくれる。

「危ねえな」

「すみません」

「山下さんじゃないよ。
今の自転車が」


つかまれている腕が熱くなる。
ついでに、顔も。


「着いた」


改札に到着。
向き合うと、田島さんは

「気をつけて」

と一歩下がった。


本当に送るだけのために
ついてきてくれたんだ。



今、離れるのが惜しいと思っているのは
私だけなのかな。

こんな赤い顔で
田島さんを見上げる勇気はない。

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