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ラピスラズリ 104 飾らない

何もつけていない素の爪に戻った。

飾らないネイルも悪くない。
呼吸ができるようになった。


外したら、不思議と
心も迷いがなくなった。


自分を鼓舞するためにつけていたのに
外してホッとしているなんて、
おかしいけれど。


あのあとから
天野さんは私を避けるようになり
特に何もされることはなかった。

田島さんに注意されたのかもしれない。



私にも非があった自覚があるので
申し訳なかったけれど、
ここには仕事をしに来ているのだ。
自分に与えられた役割をこなすだけだ。




そして、季節が少し移ろいだ。


朝は肌寒く、
道路には黄色い銀杏の葉が落ちる。
紅葉の時期だなと街路樹を見上げる。


木のドアを押してカフェに入ったら、
萩原さんの背中を見つけた。


文庫本を読んでいる彼に少しずつ近づき、
「ここいいですか?」と隣に座る。


「いいけど、久しぶりだな」


萩原さんは、文庫本をテーブルに置き、
渋く笑った。


「萩原さん、最近会社で見ませんでしたね」

「うん、出張だったからな。
……で、この前の返事しにきたの?」


すでに萩原さんは
私が近づいてきた理由を察している。

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