Clarice Fantasy

大人の女性向け恋愛小説置き場。たまにR-18
           

ラピスラズリ 164 なんにも

「詳細、聞きたい?」田島さんが事もなげに言うから、慌てて、いいです!ごめんなさい!とお断りした。あんまり踏み込んじゃだめだ、やっぱり…「まだ寝てなくていいの」「すっきりしてきました、もう大丈夫そう…」「じゃあ店出ようか。送るよ、タクシー来るまでだけど」「いや、そんな……」って、断り過ぎ…?「……あの…じゃあ、お願いします。甘えます」深々と礼をしたら、田島さんは「素直」と笑っていた。素直な自分を田島さんに出...

ラピスラズリ 163 手

田島さんの手が、畳に投げ出されていた私の手に触れた。「………」……顔が見られません。握られたその手からは煙草の匂いがしたけど温かくてこの匂いはずっと好きで差し出された手にすぐに縋りついてしまうのはだめだってわかってるのに…「田島さん…」「気分悪い?」「……横になったらましになりました…」私からも、ちょっと力を込めてぎゅっ、としたら、田島さんが私を見下ろした。こんな下から見上げることなんてないからドキドキする...

ラピスラズリ 162 瞳

「……田島さんには、何も言わないです。」「え?」「…泣きついちゃうかもしれないし。そんなのいやだし」「…いいじゃん。泣きつけば。」「…泣きついて…苦しくなったらいやだし」はっきりと明確に想いを言葉にはできないけど……これじゃあ、好きだと言ってるようなもの?田島さんは、雑炊を食べ終えて、私のお茶碗を見た。「無理しなくてもいいよ」「すみません…じゃあ雑炊残します…」「雑炊だけじゃなくて、他のこともな。」そう言っ...

ラピスラズリ 161 被害妄想

「取り分けます。これくらいは…」名刺を端に置いて、お玉とお茶碗を手にする。おいしそう…だけど、なんかやっぱり気分わるいかも。この薬は嘔気は少ないって聞いてたけど、感受性は人それぞれだもんね。「雑炊それだけでいいの?」田島さんにはたっぷり、私のお茶碗にはちまっとよそったのを指摘される。「はい…ちょっと、気分悪くて」「え。大丈夫?体調悪いの?」「体調じゃなくて薬のせいかも」飲んでからまだ2時間経ってない...

ラピスラズリ 160 ブレーキ

「持っといてよ。」と田島さんは頬杖をついた。その名刺を両手の指先で持ったまま、顔が上げられない。「返されてショックだったんだけど」「……すみません。」つい謝ってしまう。でも、連絡先もらったら、連絡して…連絡取ってふたりで会って?それで……つぎは?田島さんと近くなっていったらわたしはどんどん離れられなくなったりしない?やすみの日の田島さんにも会いたくなったり、別居してる奥さんに申し訳なく思ったり、そうか...

ラピスラズリ 159 一挙一動

田島さんの煙草を持つ指が好きだったりする。このご時世だけど、煙草を吸う男の人の仕草がいまだ好きだったりする。萩原さんは吸わないし、この禁煙ブームのなかフェチには貴重なシーンで…「ん?何?」じっと見てるわたしに今度は田島さんが聞いてきた。「あの……おいしいですね。お鍋って、なんか幸せで…あったかいし、湯気にもホッとするし…」って、何言ってるんだろう。支離滅裂になってると、田島さんは後ろの壁に軽くもたれか...

作業のおしらせ

いつもありがとうございます。掲題の件につきまして。他サイトで書いている作品を、作品置き場としてこのブログに集約しようと考えているので、今後鍵を掛けて作業することがあります。複数の作品を掲載するのでちょっと見にくくなるかもしれませんが・・・また運用は考えますね^^タイトルなども多分変更します。足を運んで下さっている方にはご迷惑おかけします。自己満足ブログですが、宜しくお願いします^^...

ラピスラズリ 158 おにいちゃん

お酒はやめておこう…薬に、吐き気の副作用もあるようだし…適当なコースを頼むことにして、お酒はどうするか聞かれた。「体調悪いので、やめておきます」「ああ。……え、妊娠?」手をぶんぶん振って否定。「違います違います」「あ、違うんだ」田島さんはメニューからわたしへ視線を移し、またメニューへと戻った。妊娠だと思ってたの?正反対ですよ…「俺はひれ酒飲もうっと」「おいしいですか?」「うん。俺は好き」へー…田島さんが...

ラピスラズリ 157 ふぐ鍋

もう20代も中盤を過ぎているのにいちいち田島さんの言動に赤面したり、ドキドキして。今だって、繋いでる手が嬉しいと思ってて。昨日まで、萩原さんと暮らしていたわたしが。さっき、「昨日、避妊に失敗してしまって…」と女医さんに説明していたわたしが。(実際は失敗よりタチが悪い)今、田島さんにこんな感情を抱くのは、許されないことのような気がした。「鍋食いてー」「あ、いいですね」「そこにふぐ鍋の店がある」鍋…いいな...

ラピスラズリ 156 仰天

「今のうちに行かないと本降りになりそうだな」「そうですね…」ぐぎゅ~~…と私のお腹が鳴り、田島さんも一瞬言葉を失っていた。「……」「……」「腹減ってるのかよ…」笑いを堪えているようにも見える田島さん。恥ずかしすぎて消えたい。「じゃあ、飯行くか。」「いえっ、そんな」「いいから。拒絶するなよ。頼むから。」田島さんがの横顔はとても切なそうに見えてわたしはまたうつむく。拒絶しないと、心がまた舞い戻ってしまう。消...
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