Clarice Fantasy

大人の女性向け恋愛小説置き場。たまにR-18
           

ひみつのシンデレラ【23】恋を打ち明けるシンデレラ

翌日のバイトは、桜木さんはいなかった。新規店舗のオープニングスタッフとして行ったからだ。閉店間際、デパートの主任に手招きされた。「来週◯曜日、山下ちゃんが就活で休むんだけど、伊原ちゃん来れそう?」「はい、出ます」主任は笑顔で「了解、助かるわ?」と持ち場に戻って行かれ、後ろから早見さんが「働くね?」と笑っていた。さやかちゃんは、桜木さんの会社受ける日なのかな?閉店して、ロッカーにダッシュ。いつか階段か...

ひみつのシンデレラ【22】ほめ殺されるシンデレラ

電話も数回目ともなると、心臓が飛び出しそうな緊張もちょっと鎮火してきた。桜木さんが私に気がないと悟ってからは、恋に恋していたような感覚も薄まり、少し冷静に桜木さんを見ることができた。諦める選択肢はまだないけど。『おつかれ。今日山下さんと無事話できたよー。うち受けたいみたいだから、また説明することになったよ』「そうですか…」さやかちゃんから聞いた通り。少しだけ沈黙の後、桜木さんが口を開く。『で、今日...

ひみつのシンデレラ【21】可愛さ余って憎さ百倍なシンデレラ

さやかちゃんに就活の件メールしなきゃ、と思い出す。『桜木さんが会った時直接話すって言ってたよ』と送信した。すると、すぐに返信があった。『ごめんね、ありがとう!明日バイトだから、もしいたら話しかけてみるね!』売場でも、接するタイミングがない時はとことんない。明日は話せるといいね、とメールしてやりとりを終える。コンパ…さやかちゃん誘ってみようか?と、ふと考えがよぎる。どうせならかわいい子が来た方がいい...

ひみつのシンデレラ【20】迷走するシンデレラ

家に帰って、興奮冷めやらぬうちに朱莉に電話した。コンパのお誘いがあったことと、私の片思いのカミングアウトを、どっしり構えて聞いてくれた朱莉。『桜木さんって、後ろに立ってた人?何となくしか思い出せないけど、イケメンだった気がする』「イケメンはイケメンだよ。その気にさせるのがうまいの」『えー?中身もイケメン?』うーん…それはどうだろう。仕事の時はニコニコしてて素敵だけど、裏の顔がありそう。『あのさ、彼...

ひみつのシンデレラ【19】傘としずくと彼からのコール

帰りも雨。駅から家まで歩こうと傘をさしたところで、携帯が鳴った。当時の着信音は、ドラゴンクエストの序曲・ロトのテーマ。女子力低いが好きだった。外ではいつもサイレントにしてたのに、うっかりしていた。着メロを周りの人に聞かれると照れくさいので、携帯をバッグから慌てて取り出す。ディスプレイを確認すると、桜木さんからのコールだった。バタバタと雨のかからない高架下に入り、電話に出た。「はい、もしもし」『もう...

ひみつのシンデレラ【18】友達に見立てるシンデレラ

「これ買うー」というので、代金をいただいてレジへ。レジスタッフさんに打ってもらっている間に、レジ横のストック部屋から桜木さんが出てきた。そこにはミセスゾーン分の在庫が置いてある。桜木さんは、私の持っている箱を見て、にこっと笑って売場に出た。その笑顔に胸がきゅっとする。朱莉のパンプスも、私が桜木さんからもらったパンプスと同じブランドのもの。靴をきれいにして箱に詰め直し、雨の日なので紙袋にビニールを掛...

ひみつのシンデレラ【17】シフォンケーキとシンデレラ

着信履歴を何度も見た。信じられないけど、桜木さんからの着信が残っている。耳元に残る桜木さんのフランクな話し方や声を思い出す。ドキドキしながら余韻に浸り、切ない気持ちでため息をついた。目を閉じても思い浮かぶのは桜木さんのことばかりだった。翌日、夕方からのバイトの前に、大学の友達とお茶することになった。その日は一日雨だった。お客様が少ないかもしれないな、と思いながら待ち合わせ場所に来た。「真希ー!」私...

ひみつのシンデレラ【16】ノンストップなシンデレラ

『お疲れ様ー。メールありがとう。山下さんがうちの会社受けたいんだ?』受話器の向こうから桜木さんの声…!どうやら今、屋外にいるような雰囲気だった。「はい、桜木さんに話が聞きたいそうで…」『山下さんも直接俺に話してくれたらいいのにー。ごめんね、間に挟んじゃって』「いえ、それは全然」電話の声が聞けるという特典もあったし、ほんとに全然…その後、電車が通り過ぎる轟音がした。「今帰りなんですか?」『うん。家まで...

ひみつのシンデレラ【15】力になりたいシンデレラ

着替えを済ませて二人で外へ出る。帰り道、さやかちゃんにかわいいメモを渡された。「これ私のアドレスと番号。もし明日桜木さんに会ったら、桜木さんにこのメモ渡してほしいんだ。真希ちゃんもよかったら連絡先教えてほしい」さやかちゃんは恐縮しながら私に頼む。「じゃあ、また、渡せても渡せなくても、メールするね」「うん!もし会ったらでいいから、ごめんね」ちょっと戸惑ったけど、力になれるならと引き受けた。家に帰って...

ひみつのシンデレラ【14】煙草と香水の匂い

「もしかしてうちのとこ、誰もスタッフいない?」「あっ、はい。いませんでした」「え~。どこ行ってんだ…」桜木さんも忍者のように棚の間を下り、私と一緒に売場に戻った。ここの棚を登り降りする時は、みんな忍者のような動き。前を歩く桜木さんから、ふわっと煙草と香水の匂いがして、それがやけにドキドキした。もっと近づきたくなるような気分になる。結局お客様は、もう少し考えますということで帰って行かれた。こうやって...
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