Clarice Fantasy

大人の女性向け恋愛小説置き場。たまにR-18
           

ラブホリック スピンオフ 22-ほのかな恋心、鎮火。

わたしがコーヒーを飲み終わる頃、矢野さんのタバコは2本消されて灰皿に落ちた。そろそろ上にあがろうかとバッグを持とうとすると、勢いよくガチャっとドアが開いた。「お、矢野、早いな。おはよう」開発部の藤原部長が入ってくる。本社付きの矢野さんの上司。昨年度までは支社にいた方だ。「藤原さん、今日明日こちらでしたね」矢野さんの顔が嬉しそう…お二人の邪魔をするといけないと思い、礼をして立ち去ろうとしていると、藤...

ラブホリック スピンオフ 21-夏の終わりの非常階段。

夏が終わる頃、月曜の朝、コンビニで買ったコーヒーを下げて、上りのエレベーターを待っていた。暑いからすぐにでも飲みたい…誰もいないので、袋をガサガサと開けて、コーヒーのパッケージを覗いていると、靴の足音が近づいてきて、顔を上げた。「おはよ。早いな」矢野さんはあくびをしながら、すでに押してあるエレベーターのボタンを押す。久しぶりに近くで見た。少し緊張して、顔が見られない。「…矢野さんも早いですね」「オレ...

ラブホリック スピンオフ 20-ほのかな恋心。

矢野さんとは乗る電車も違った。わたしは、岡田さんと一緒。アサミと仁科君は会社近くで一人暮らし。「じゃあね、ユキ」アサミたちと手を振り合って、改札の中に入る。矢野さんの姿は、人に紛れてわからなかった。「ななちゃん、仕事どう?」岡田さんが明るくきさくに話しかけてくれる。「覚えることばっかりだよ。岡田さんも開発ハードそうだね」「んー、でも思ったより楽しいな~。3課は部活のノリだよ」「いいね、活気があって...

ラブホリック スピンオフ 19-ビアガーデンの帰り道。

「あー!矢野来たの!遅いよ!」高畠さんの言葉に、「サーセン」と矢野さんが返す。「サーセンてお前」「謝り方雑すぎるだろ」高畠さんたちにつっこまれ、気の置けない同僚たちと戯れている。とても楽しそう。心なしかみんなも嬉しそうに見える。男に慕われる男という感じなんだろうか。アサミも席に戻ってきて、みんなでわいわい楽しく飲み、お開きになった。この日は2次会などはなく、みんなでぞろぞろと駅まで歩く。高畠さんと...

ラブホリック スピンオフ 18-ビアガーデン。

「おつかれさーん」高畠さんの景気のよい乾杯の掛け声で、ジョッキがぶつかる。ビアガーデンに来たのは初めてだった。熱気がすごくて、肩に掛けていたカーディガンを外す。周りは仕事帰りの人や、学生さんがいた。「あたしビール追加してくる」わたしはいちばん端っこに座っていて、わたしの右隣に座っていたアサミは、一杯めをすでに飲みほして、行ってしまった。そして、一気に飲んだメンバーたちは、アサミに続いて離席していき...

ラブホリック スピンオフ 17-社内メールの返信。

…何だろう。この感じ。くすぐったいような感じ。当時は入社して3ヶ月足らず。矢野さんは、何となくわたしにとって気になる存在になっていた。何か、いい事言われたわけでもない。気を持たされたわけでもない。目立つけど、飛びぬけてかっこいいかと言われるとそうでもない…(失礼)でも、会えた日は少し心が浮かれる。もっと矢野さんを知りたくなるような、ほのかな好意が芽生えていた。『矢野さんのお役にたてて嬉しいです』結局返...

ラブホリック スピンオフ 16-お届けもの。

矢野さん…席にいるかな。以前、休憩フロアで会ったきり全然顔を合わせていなかった。3課に行くと、いろんな人に紛れて仁科君が席にいた。「ごめんね仁科君、高畠さんいる?」「高畠さんは、三輪さんや岡田さんとあっちでミーティングだよ」仁科君はミーティングスペースを指さし、見てみると3人でいらっしゃる。高畠さん、女子二人の先生みたい。(笑)「…じゃ、また後で来ようかな。お取り込みだね」「高畠さんには伝えとくよ」「...

ラブホリック スピンオフ 15-災い転じて。

みなさんは2次会に行かれたが、わたしは帰るつもりでいた。須賀さんも帰るというので、駅まで一緒に歩いた。お酒の入った須賀さんは、いつもよりチャーミング。「あはは、下ネタ被害受けてたわねぇ」と笑っている。「須賀さん…見捨てて避難されてましたよね」「ごめんなさい。小林部長のあれは みんな洗礼受けなきゃだから。 それに、部長も大喜びだったし」屈託なく笑っている姿を見たら、まぁいいか…とわたしも笑った。部長か...

ラブホリック スピンオフ 14-初めての歓迎会。

鏡を見ると、思ったよりメイクが崩れていた。こんな顔を、周りのみなさんや矢野さんに晒してしまったのかと思うと複雑な気分だった。先に化粧直せばよかった…。管理部全員でぞろぞろとお店に向かい、座敷では須賀さんに「ここよ」と小林部長の隣をすすめられる。初めての会社の宴会。お酌しないといけないのかな?須賀さんを横目で見ても、誰にも注いだりしていない。仕切って下さるのは部で一番お若い男性メンバー。と言っても30...

ラブホリック スピンオフ 13-初めてまともに会話。

矢野さんは「暑い」とジャケットを脱ぎ、隣のイスに掛けた。その様子を、お茶を飲みながら眺めていると目が合った。「仁科とか、三輪と仲いいの?」「あ、はい。 この前の研修で仲良くなったんですけど、 わたしも開発部行く気だったので、 ちょっと寂しいです」そう言うと、矢野さんが笑う。矢野さんは、思ったより、優しいような気もする。「いいじゃん。案件の流れ覚えた後は契約管理?」「そうみたいです。荷が重くて…」「...
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